海水魚飼育の疑問解決 コケの防止方法


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コケの始末はどうしたらよいのでしょうか

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 水槽の中に生えるコケの種類

茶ゴケ 海水魚を飼ってみると水槽内にうっすらとしたコケが付きだして困ると思います。 茶色っぽいこの藻(コケ)は珪藻というの一種です。 ガラス面やライブロックなどに薄く付いていきます。 色はこのほかにも黄褐色のもの、黄色のもの、黄緑色のもの、暗緑色のものなどもあります。 この色は藻が持っている葉緑素の色で珪藻の種類によって葉緑素が違うためいろいろな色があります。 この藻の細胞は周りに殻がついていてその殻は珪酸で作られています。 と言うことはこの細胞が増えていくためには珪酸を必要としていて珪酸塩がなければ増えていくことができません。 とはいっても地球上にある岩石の主成分は珪酸塩(ケイ素酸素が結合したもの)なので珪酸は地球上どこにでもふんだんにあるものです。 岩石が小さくなったものが砂利でさらに小さくなったものが砂でさらに小さくなったものが土です。 自然水は海でも川でも湖でもどれもその上に乗っている訳ですから自然水には充分な量のケイ酸塩が溶け込んでいるものです。 珪藻は光合成して酸素を作り出し世界中の海に漂ってる生きものです。 地球上で作られる酸素の内 1/4は珪藻によって作られているということです。 この量は地上の全植物が作り出す量と同じ量になります。 珪藻は自然界に充分すぎるくらいいる藻で 地球上の酸素を作る大切な生物です。 それと共に植物プランクトンとして食物連鎖の最初のものなので自然界では大変重要なものです。 でも水槽内では珪藻は必要ありません。 水槽の中はほとんど食物連鎖が行われていません。 普通水槽内の食物連鎖の最初は人間が与える餌になります。 そのため水槽内では珪藻を育てる必要が無く見栄えの悪い茶ゴケは 0にしても支障ありません。 赤ゴケ 水槽に新しく水を加えたときは珪酸が水道水や海水に含まれているため珪藻が発生しますが、水槽内のケイ素を使い尽くしてしまうと材料がないためそれ以上増えなくなります(出来た珪藻がなくなっていくことではありません)。 新しい水を加えるときRO浄水器を通した水を使ったときにはケイ素が除かれているので珪藻を発生させないこともできます。 RO浄水器の水で水替えを続けていけば珪藻のない水槽を維持していけますが、その他の場合は水替えの都度水槽にケイ素を投入していくので珪藻を増やしていくことになります。
このほかによく生えるコケに藍藻(シアノバクテリア)があります。 このコケは水質が悪化すると発生してきます。 赤黒いような薄い膜状になって底砂ライブロックの上などにべたっと被膜のように張り付きます。 茶ゴケに対して赤ゴケと呼ばれています。 このコケも自然界の海では酸素を作り出す大切な生き物です。 でも水槽の中は生物が酸素を作り出す必要はないので全くいる必要のない生き物です。 このコケはきれいな水質を維持していけば生えさせないで済むコケなので水替えをきちんと続けていくことです。 この他に水槽内に光が当たっていると緑色の緑藻という藻が発生してきます。 この藻はサンゴ飼育など強い照明を使っている水槽で発生しやすく茶ゴケや赤ゴケと比べて落としにくいものが多くあります。 ガラス面に薄くつく緑藻はガラス面に光が当たって発生しています。 照明を上から真下にだけ当たるようにできればガラス面に光が当たらずガラス面のコケは発生しなくなります。 外からの直射日光なども当たらないようにすればガラス面のコケを防ぐことはできます。 緑藻はガラス面に薄くつくもの以外に形のあるヒゲゴケとかハネモトロロ藻などと呼ばれているものがあります。これらの藻はサンゴ水槽など上級者の水槽で発生し ヒゲゴケやすい藻です。 コケ(藻)類の発生は環境によってどのコケが発生するか違ってきます。 水流の強いところに発生するもの、流れがよどんだところに発生するものなどの違いがあります。
水中にはコケの基となる胞子がわずかに混じっているものです。 水中に栄養塩があればこれを肥料としてコケが繁殖しだします。 炭素窒素リンケイ素、鉄など栄養塩はいろいろありますが 水中に含まれている比率の違いによってそのとき繁殖しやすい藻の種類が違ってきます。 栄養塩が多い水槽では茶ゴケや赤ゴケなどが発生しますが水質の良い水槽では栄養塩の比率のちょっとした変化によって発生する藻の種類が変わっていきます。 そのほか紅藻という種類の藻もあります。 紅藻は私達が食べている浅草海苔とか昆布、ワカメのようなものですがアクアリストの水槽ではあまりできない種類といえます。 藻の種類としてはこれ以外に褐虫藻という藻と石灰藻という藻があります。 褐虫藻という藻はサンゴとかイソギンチャクが体内で共生させている藻です。 全部のサンゴ、イソギンチャクで共生しているわけではありませんがサンゴ、イソギンチャクの中には体の中に褐虫藻を飼っている種類があります。 そして褐虫藻が光合成で作った栄養を利用して生きているものがたくさんいます。 私達人間が大腸の中にビフィズス菌とか乳酸菌とかを飼っていてこれらの菌の助けを借りて消化活動をしているのと同じようなものです。 サンゴ飼育をすトロロ藻るときには太陽光と同じくらいの強い光が必要とされるのは褐虫藻が光合成をしなくてはならないからです。 サンゴやイソギンチャクは強い光を浴びて褐虫藻が光合成をしてくれれば 体を作る材料とエネルギーが得られるので元気に育っていきます。
石灰藻というのは海水浴や釣りで岩場に行ったりしたとき岩に赤紫のような模様が付いているのを見た人があると思います。 その赤紫のような部分です。 水槽にライブロックという岩を入れている人もいると思いますが良質のライブロックにはたくさん赤紫のものが付いています。 この部分が石灰藻の部分です。 サンゴはきれいな海でないと育たないのですがきれいな海というのは栄養塩が少ない海のことです。 栄養塩は海藻とか植物プランクトンの餌のことなのでこれが多いとラン藻等が増え水がにごって汚くなります。 水がにごっていると太陽の光が海底まで届かなくなり海底に棲んでいるサンゴは光合成できなくなり死んでしまいます。 サンゴが良く育っている海は栄養塩が少なく水が透き通っている環境です。石灰藻は水中に溶けている炭酸カルシウムを使って石灰質の細胞壁を作って増えていく生物です。 海水中に炭酸カルシウムが含まれていなければ成長していけません。 栄養塩が多いときはリン酸塩も多くなっています。 水中のカルシウムは炭酸よりリン酸と結合しやすい性質があるため水中に燐酸塩があるとリン酸カルシウムが作られてしまい炭酸カルシウムが作られません。 そのためリン酸塩が多い水質のときは石灰藻は増えていけません。 石灰藻 水槽の中で石灰藻が増えていくということは燐酸塩が少ないきれいな状態にあると言えるのです。 サンゴ(主にイシサンゴ)も炭酸カルシウムで骨格を作って成長していくので炭酸カルシウムがなければ成長していけません。 サンゴを飼育している水槽では石灰藻が増えていくというのは大変いい水質ができているといえます。 でも海水魚を飼っているだけの水槽では水質の良いのに越したことはありませんがここまでの水質は必ずしも必要とはしていません。

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 栄養塩とは

藻類は栄養塩が豊富だと良く発生すると言われています。栄養塩とは何でしょうか。動物でいう食べ物のことを植物では栄養塩といいます。 植物が育つための栄養分のことでリンとか窒素とか硝酸などのことです。 有機物植物が必要とする栄養は窒素・燐酸・カリの3大要素とカルシウムマグネシウム・硫黄の3要素と、マンガン・ホウ素などの微量元素ですがこのようなものを栄養塩と呼んでいます。 これらのものが水に溶けていると植物である海草がよく育ちますし同じように海藻も良く育ちます。 よく自然界の湖や海にこの栄養塩が多くなると珪藻等が大量発生して赤潮などで 環境問題のニュースになったりします。 特に栄養塩で問題になるのは硝酸塩(窒素分)と燐酸塩(リン酸分)です。 動物は植物が酸素窒素などの無機物を変化させて作り出した有機物を 食べものとしています。 有機物とは、植物や藻などが酸素、炭素、水素、窒素、リンを組み合わせて光と酵素の力で作ったものです。 また、生物の体というのはタンパク質で作られていますが、タンパク質は窒素がもとになっています。 あらゆる生物が息をしたり動いたりするためのエネルギーを作るには燐酸を必要とします。 窒素があって燐酸があれば体が作られエネルギーを出せますから生命活動をすることができるわけです。硝酸塩は硝化菌(ニトロソモナス、ニトロバクター)がアンモニアを変化させて作り出します。 アンモニアは生物が排泄するほか餌の残りや糞、死骸があればバクテリアによって作られていきます。 生物がいれば次々作られていくものです。 燐酸は生物である限り必ず持っているものなので生物がいるところには何処にでもあるものです。 これらの栄養塩が普通より多く水に溶け込んだ状態になると植物プランクトンである藻類が大量発生することになります。
新しい海水を水槽に入れると一緒にケイ素が運ばれますし海水魚の排泄物や食べ残しの餌、糞、死骸などからは硝酸塩と燐酸塩が作られていきます。 それらが水中に増えていき富栄養塩の環境になると藻の大発生となります。 藻を発生させないためには水槽に加える水から珪素を除くこと、生物数を少なくすること、残り餌、糞、死骸を直ぐ取り除くことをすれば作る材料がないので発生しないことになります。 テトラという会社では水質調整剤としてナイトレイトマイナスという商品を販売しています。 この商品は濾過作用によって水槽内に次々増えていく硝酸塩を脱窒菌を働かせて窒素ガスに変えていくというものです。 栄養塩である硝酸塩を窒素に変えてしまえば硝酸塩が増えていかないことになります。 コケは食べ物(硝酸塩)が増えていかないので発生していかないことになります。 ナイトレイトマイナスは液体なので取り扱いが簡単で定期的に水槽に入れていくだけで脱窒ができてしまうという優れたものです。他メーカーでも同様かそれ以上の結果を出せる製品を販売していますので コケが多くて悩んでいる人は使ってみる価値があるものと思います。 脱窒が行われるので硝酸塩の蓄積ペースは遅くなり水替えの間隔を長く伸ばすことができ、コケのないクリアな水槽が実現します。

濾過作用

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 コケ掃除

ガラス面に付く茶ゴケはウールマットなどでこすって落とすのが普通です。昨今はウールマットを使うより激落ちくんのようなメラミン樹脂を発泡処理したものを使うことが多くなってきています。 コケをこすったウールマットは水槽の外で絞るようにします。 こうすると茶ゴケは水槽外に捨てられたことになります。 水槽内で絞ってしまうと一時的にコケをガラスから放して消えたように見えますが、胞子が水中に舞っただけでしばらくするとまたガラス面にくっつくということになってしまいます。
ウールマットでとりにくいコケとか手の届きにくいところのコケ用には何種類かコケ落とし用具が売られています。 でもコケ落とし用具はキッチンで使う食器洗いグッズなどをアクアリウム用に応用したものが多く100円ショップなどで同じようなものを手に入れることができます。 これらのものはアクアリウム用として売られているものと比べてものすごく安く買えます。
手を水に付けたくない場合は柄の付いたタイプを使ったりマグネットタイプのものを使ったりしますが水槽の角のようなところはこれらのものでは十分にはきれいにできません。 ガラス面に固くこびりつくタイプのコケは落とし辛く専用のプラスチック製コケ落とし用具があります。 これもプラスチック三角定規や使わなくなったクレジットカードを使ったりすれば同じような効果が得られます。
コケを生えさせないためにはコケを食べてくれる生き物を水槽内に入れておく方法があります。 これらの生物を水槽に入れておくことはかなりの効果があります。 コケを食べてくれる生物で有名なのはコケ取り貝です。 シッタカ貝がよく茶ゴケを食べてくれます。 底砂の上に生えるコケはマガキガイが良く食べてくれます。 これらの貝は効果があるのですがコケを食べつくしてしまうと餌不足で死んでしまうのでときどき補充して数を維持していくのが普通です。 この他の苔を食べてくれる貝はヒザラガイ、トコブシ、チョウセンサザエ、イシダタミガイなどがいます。 海水魚ではカエルウオ類やヤエヤマギンポなどがコケを食べてくれますが個々の海水魚により好き嫌いがあって必ず食べてくれるものとは言い切れません。 これ以外にも コーレタン、 カタボシオオモンハゼなどがコケを食べてくれます。 海水魚のほかにはエビの仲間やヤドカリの仲間、ウニの仲間がコケを食べてくれるので一緒に飼育していくのが良いでしょう。 これらの生き物は魚が食べ残した餌を処理してくれるのでコケだけでなく水質が汚れていくのを防いでくれる働きもしています。そのほかコケ防止にはリン酸塩除去剤、ケイ酸塩除去剤、硝酸塩除去剤など吸着材を使うと効果があるので使用しているベテランの人は多いです。

激落ちくん
コケ対策剤を販売している会社は
   
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 コケが生えないようにするには

エーハイム パワークリーナー 電動ガラス掃除機

コケが生えて困っている人は多いと思います。
次のことをチェックしてみて原因を見つけ出してみてください。

  1. 海水魚など生き物の数が多過ぎはしないか
  2. 濾過フィルターの能力が低すぎてはないか
  3. 濾過フィルターの掃除回数は少なくないか
  4. 水換えは頻繁にやっているか
  5. 浄水器を使った水を使っているか
  6. ライトの照射時間が長すぎはしないか
  7. 直射日光が当たらないようにしているか
  8. 餌は食べ残しが出ないような量にしているか
  9. 生物の死骸は見つけ次第素早く取り除いているか

このようなことを注意すればかなり解決できるかもしれません。
それでもコケを減らせないというときは藻食性生物を飼育する、脱窒菌活性化剤を使う、RO浄水器紫外線殺菌灯殺菌筒オゾナイザーケイ酸塩除去剤、リン酸塩除去剤、コケ除去剤などが大きな効果を示せますので活用するのも良いと思います。

ピーカット マリン
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