海水魚飼育器具の知識
RO浄水器
家庭のキッチンで使っている浄水器は塩素(カルキ)を取り除いて塩素臭、塩素味を取り除き水をおいしくするのを主目的としたものです。
アクアリウムで使うRO浄水器は塩素を除くほか水に含まれている塩素以外のミネラルも取り除くようにしたものです。
水道水には塩素のほかにケイ酸塩とか硝酸塩、リン酸塩などコケの原因となるミネラルが必ず含まれています。
水槽にこれらのものを入れないようにするため使います。
何が違うのかというと 活性炭+マイクロフィルター で浄水しているものと 活性炭+マイクロフィルター+逆浸透膜 で浄水している浄水器の違いになります。
マイクロフィルターの穴の大きさは0.1μmなので水に含まれているほとんどの不純物は取り除くことができます。
そのため人間が飲んで安全な水が得られます。
ミネラルは大きさが0.0002μm〜0.0005μmしかないないのでマイクロフィルターの穴を全部通り抜けてしまいます。
そのおかげで浄水器に通すとミネラルが含まれたおいしい水が得られます(水のおいしさは水に含まれているミネラルによってつくられています)。
RO浄水器に使われている逆浸透膜(メンブレン)の穴の大きさは 0.0001μmという小ささなのでミネラルは逆浸透膜を通り抜けることができません。
逆浸透膜の穴を通り抜けてきた水はミネラルも除かれます。
そのためRO浄水器を使って浄水した水を何も含まれていない水という意味で純水と言います。
海水を作るとき 海水の素(人工海水)を純水で溶いて作れば海の水とほとんど同じものがつくれます。
水道水をハイポで中和させて作った場合には実際の海の水よりミネラル分の多い海水になっています。
海水魚を飼育するときはどちらを使ってもほとんど影響はありません。
でもサンゴなど水質に敏感な生物を飼育するときは影響が出ることがあります。
海水魚は恒浸透性動物なので体の浸透圧を一定に保つことのできる動物です。
ところがサンゴなど無脊椎動物は変浸透性動物でイオンバランスが変動すると体の浸透圧が変わってしまう生き物です。
海水のミネラル量が増えたり減ったりしても海水魚は体の浸透圧が一定なので影響ありません。
無脊椎動物は浸透圧が変わることで病気になってしまいます。
サンゴ飼育のときはなるべくRO浄水器の水を使ったほうがうまくいきます。
海水魚だけの飼育で無脊椎動物がいないときは特にRO浄水器を使わなくてもよいはずなのに海水魚だけの飼育でRO浄水器を使う目的はコケの発生抑制です。
コケは栄養塩と光とで光合成をして成長していきます。
水道水で海水を作るということは栄養塩を含んだ海水ができることになります。
RO浄水器を通した水だと栄養塩が含まれていない海水を作ることができます。
水替えのとき水道水で作った海水を使うことはケイ素ほか栄養塩を水槽に入れることになるので珪藻などコケが成長できることになります。
RO浄水器の水の場合は栄養塩がないので新しい水を加える事によるコケの増加は起こりません。
海水魚だけの飼育のときのRO浄水器はコケの発生防止のために使っています。
RO浄水器はマーフィードという会社の製品が有名です(この会社以外では、カキショウテン、アクアギーク、エロスなどの会社があります)。
マーフィード製品の基本はエキスパート150という機種で、セディメントフィルター、ファイバーカーボン、150ガロンメンブレンという3つの部分で構成されています。定価は69,000円です。
この機種のセディメントフィルターとファイバーカーボンを一つにまとめて小型化しマリンアクアリスト用として作られているものにエキスパートマリン(セディメント&カーボンフィルターと50ガロンメンブレンの組み合わせ)定価32,000円があります。
これより多くの純水をつくれる機種にエキスパートマリン75(セディメント&カーボンフィルターと75ガロンメンブレンの組み合わせ)定価46,000円があります。
さらに、それ以上作る能力の高い機種がエキスパートマリン140(セディメント&カーボンフィルターと140ガロンメンブレンの組み合わせ)定価56,000円です。
そしてエキスパートマリン140にタンクを組み合わせて自動的に純水を作り置きしておけるマリン140ファイナルシステム定価82,000円という便利な機種も用意されています。
どの機種を使ってもできる純水は同じもので機種の違いは一日に作ることのできる能力の違いです。
RO浄水器が純水を作るスピードは水道の水圧によって違いが出ます。
水圧の高い海外で作られているRO浄水器を日本で使うと水圧が低いため作られる純水はポタポタのところが多くなります。
RO浄水器は4.2kg/p2の水圧を基準として作られていますが日本の水道はこの水圧に達していません。
場所により、マンションによりずっと低いところがあり1kg/p2を下回るところもあります。
RO浄水器はメンブレンを通り抜けた純水と通り抜けられなかった排水に分かれて流れ出ます。
日本では作られる純水はポタポタ、排水はジャージャーとなります。
加圧ポンプをつけて水圧を上げると純水もジャージャーに近づけることができます。
今まで純水の3倍以上捨てる水があった場合でも加圧ポンプを付けることによって1.5倍以下に収まるようになります。
RO浄水器にイオン交換器を接続すると超純水が作れます。
RO浄水器で純水が作れますがわずかにミネラルがメンブレンを通り抜けてしまうことがあります。
イオン交換器はイオン交換することでミネラルを取り除く器具でこの器具を通した水はミネラルを全く含まない水になります。
そのためイオン交換器を通した水のことを超純水と言います。
マーフィードのイオン交換器はRGダッシュ(二層イオン交換フィルター)で、これを使うことにより水替え時にコケの餌を水槽に入れるということが完全に近い形で防げることになります。
超純水を得る方法としてはR/O浄水器もイオン交換機も必要としない別の方法もあります。
水槽など超純水用に用意したの容器にイオン交換樹脂をセットした外部ろ過フィルターを接続し、カルキ抜きした水を入れて水を循環させる方法です。
この方法だとR/O浄水器などの高価な器具を揃える必要がなく初期費用0円で超純水を得ることが出来ます。
小さな飼育水槽で純水を必要としている場合はこちらの方がはるかにコストパフォーマンスが良いことになります。
RO浄水器を使うとき注意すること
RO浄水器を使う上で注意することは大切なメンブレンを痛めないように使うことです。
そのためにはプレフィルターで大きなごみなどを除き水をある程度きれいにしてメンブレンに送る必要があります。
メンブレンに送られてくる水がきれいかどうかでメンブレンの寿命が1〜3年の違いが出てしまいます。
きれいな水を送るにはプレフィルター(セディメントカートリッジとカーボンカートリッジ)を早めに交換していくことです。
プレフィルターは水を10,000〜20,000L分流したら交換するように指定されています。住んでいる地域の水道水がきれいな水系かどうかでプレフィルターの交換時期は違ってきます。
メンブレンはまた塩素に対してとても弱く塩素に触れていると破れていきます。
プレフィルターは使っていくうちにだんだん塩素を取り除く能力が落ちていきます。
そのため 使っていくうち塩素を含んだ水がメンブレンに流れるようになります。
プレフィルターは普通半年ごとに交換しますが交換時期をしっかり確かめるときは塩素試薬を使います。
プレフィルターから出てきた水を容器に20ccとり試薬を数滴たらした後水の色を見ます。
プレフィルターで塩素が除かれているときは水の色が透明です。
取り除けない塩素が出てくると黄色っぽく変わっていきます。
色が濃くならないうちにプレフィルターを交換していくとメンブレンは長持ちします。
RO浄水器を通した水がきれいになっているか調べるにはTDSメーター(4,000円〜10,000円程度)という計器を使います。
水は完全に H2Oだけのときは絶縁体に近く電気が流れません。
不純物が混ざるとその不純物に対して導電性が発生するので流れる電気(電気伝導度)を
計れば汚れ具合が計れます。
電気伝導度(単位:μS/cm)が高いほどミネラルなどの不純物が多く含まれているということが言えます。
アクアリウムでは計測したμS/cmの値に 0.66を掛けてppmに直したものをTDSメーターのTDS値として計測しています。
水道水のTDS値は、100〜300ppmくらいですが水道水をRO浄水器に通すと5ppmくらいまで下がります。
さらにイオン交換器を通すと0ppmになります。
RO浄水器は使っていくうちこの数値は上がっていき汚れが取り除けなくなります。
TDS値が35ppmまで上がってしまったときにはメンブレンの交換になります。
クーラー
夏場の暑さをしのぐためクーラーは必要です。 ではクーラーが必需品だということが分ってクーラーを選ぶときどんなことに注意をしたらよいのでしょうか。
クーラーの選び方
1.水槽の大きさだけでクーラーを選ぶと失敗することがあります。
水槽の大きさが選ぶときの最大の目安となりますがそれ以外の飼育環境的条件も考慮に入れる必要があります。 水槽をエアコンの効いた部屋において飼育していくのかそうでないのかなど大きく影響します。 いずれにしてもクーラーは余裕をもった能力のものを選ばないとのちのち後悔します。 高い買い物なので‥‥‥
2.能力ギリギリのクーラーを選ぶと電気使用料が上がります。
クーラーの能力が高いと短時間で水温を設定温度まで下げることができます。 適正温度に下がるとクーラーは運転を休止して水温がまた上がってしまうまで待ちます。 クーラーが止まっている間は電気使用料がかかりません。ギリギリの能力のクーラーを選んでしまうと設定温度に下げるまでに長い時間かかってしまい運転時間が長くなります。 外気温によっては24時間動きっぱなしにしていても 設定温度にならずに水温が30数度のままということもあります。 クーラーは能力いっぱいの稼働を続けるので壊れるのも早くなります。 能力に余裕のあるものを選んだほうがランニングコストがかからないということになります。
3.クーラーの作動音にも注意する必要があります。
クーラーを置く場所によって運転音がチェック項目に入る場合があります。 静かな部屋にクーラーを設置した場合機種によってはクーラーの運転音は相当気になります。 室内エアコンなどは最近の機種ではほとんど運転音が聞こえません。 でも水槽用のクーラーは相当気になる音を出すものがあります。 クーラーの作動音を公表しているメーカーは少ないのですがレイシーのLX-501CXが39デシベル、LX-110GXが44デシベル、LX-150CXが46デシベル、LX-200CXが48デシベルとなっています。 国の定めた騒音基準では住宅地の昼間の音は55デシベル以下、夜間の音は45デシベル以下にしなくてはならないとなっています。 夜間にクーラーが運転した時騒音にならないのはLX-501CXとLX=110GXだけとなります。 クーラーの音が気になる場合はクーラーを室外におけば良いのですがクーラーのパイプを延ばせる距離はせいぜい2m程度です。 壁の外にクーラーを置くのはかなり難しくなります。 でも室外にクーラーを置ければクーラーの排熱で室温を上げることがなくなります。 部屋のエアコンやクーラーの運転時間が相当少なくなり電気使用料がたすかります。 室外用のタイプもありますがこちらの方は+10万円くらい値段が高くなってしまいます。
4.クーラーの能力を引き出すには適正な流量の水で循環させる必要があります。
クーラーのカタログには適正循環水量(適正ポンプ水量)の値が示されています。
これはメーカーテストしてみた結果冷却能力がこの水量を外れると落ちてしまうことから出てきた数値です。
この流水量でしか能力を発揮しませんよという数字です。
クーラーに接続する水中ポンプなどの時間当たり流水量に注意しましょう。
必要冷却能力の求め方
実際にどの大きさのクーラーにするかは次の式に数字を入れて必要冷却能力(kcal/h)を求めて決めることになります。
必要冷却能力 = ( A × B / C + D × E ) × F A :全水量(L) 冷やさなければならない水の量の合計
水槽の容積+上部フィルターの容積など
B :冷却温度(℃) 室内の最高温度 − 設定温度
東京だと35℃ − 普通25℃ = 10℃
そのほか設定により 7℃、5℃など
自動でルームエアコンが24時間働いていて、
室温が30℃を超えないような部屋は5℃になります。
C :クーラーの1日の運転時間(h)
室温が最高の日にクーラーがどれくらいの時間運転するか。
24h、20h、16h、12h、8hなど
ルームエアコンを使っている部屋だとクーラーの稼働時間は減ります。
D :消費電力の合計(W) 水槽周りで使っている電気器具の合計ワット数。
80w、100w、120w、150w、180w、200w、250w、300w、350wなど
照明器具、揚水ポンプ、殺菌灯、プロテインスキマー、エアーポンプなど
E :カロリー換算係数 消費電力の合計(w)を kcal/hに換算する係数
= 0.86
F :余裕率 つまりなどで流れが自然と悪くなったりするため。
= 1.2
<例>
90cm水槽、上部濾過フィルター使用(32w蛍光灯2本)、25wの水陸両用ポンプで循環、25wの殺菌灯使用、室温35℃の日は24時間運転する。設定温度を25℃とした時は
冷却能力が227.6kcal/h以上のクーラーを選べばよいことになります。
このようにして冷却能力を算出して下の表に当てはめれば、適したクーラーが解ります。
メーカー | 品番 | 冷却能力 | 適用水量 | 参考価格 |
---|---|---|---|---|
ジェックス | クールウェイ100 | 150kcal | 100L | 27,000円 |
ジェックス | クールウェイ200 | 230kcal | 160L | 31,500円 |
ジェックス | クールウェイ400 | 580kcal | 350L | 48,000円 |
TECO |
TR-5 ホワイト |
140kcal | 100L | 53,093円 |
TECO | TR-10 ホワイト | 250kcal | 400L | 79,246円 |
TECO | TC-5 | 140kcal | 100L | 66,528円 |
TECO | TC-10 | 250kcal | 400L | 110,057円 |
TECO | TC-15 | 420kcal | 640L | 139,779円 |
TECO | TC-20 | 560kcal | 1,200L | 155,027円 |
レイシー | LX-120EXA | 390kcal | 500L | 111,000円 |
レイシー | LX-180EX | 550kcal | 700L | 153,700円 |
レイシー | LX-250ES | 700kcal | 1,000L | 187,396円 |
レイシー | LX-300ES | 1,000kcal | 1,500L | 189,800円 |
レイシー | RX-300AT | 690kcal | 600L | 272,160円 |
レイシー | RX-400AT | 880kcal | 1,300L | 333,590円 |
レイシー | AZ-150X | 400kcal | 480L | 174,050円 |
レイシー | AZ-250X | 590kcal | 800L | 199,140円 |
テトラ | CX-30 | - | 20L | 9,535円 |
テトラ | CX-60 | - | 60L | 11,400円 |
テトラ | CR-1 NEW | - | 20L | 6,995円 |
テトラ | CR-2 NEW | - | 40L | 10,394円 |
テトラ | CR-3 NEW | - | 60L | 11,909円 |
テトラ | CPX-75 | 150kcal | 200L | 23,490円 |
ニッソー | アクアクーラー ミニ | - | 10〜28L | 8,220円 |
ニッソー | アクアクーラー 20 スリム | - | 160L | 23,490円 |
ニッソー | アクアクーラー40−II | - | 300L | 31,590円 |
ゼンスイ | ZR-mini | 180kcal | 180L | 29,800円 |
ゼンスイ |
ZR-75E |
240kcal | 300L | 38,900円 |
ゼンスイ | ZR-130E | 400kcal | 500L | 51,223円 |
ゼンスイ | ZR- 180E | 460kcal | 700L | 59,452円 |
ゼンスイ |
ZR-250 |
600kcal | 1,000L | 65,900円 |
ゼンスイ | ZC-100 | 78kcal | 100L | 32,400円 |
ゼンスイ |
ZC-200 |
132kcal | 200L | 48,600円 |
ゼンスイ |
ZC-500E |
250kcal | 450L | 89,640円 |
ゼンスイ |
ZC-700E |
400kcal | 650L | 102,600円 |
ゼンスイ | ZC-1000E | 570kcal | 950L | 118,800円 |
ゼンスイ |
ZC-1300E |
880kcal | 1,300L | 139,320円 |
ゼンスイ |
MC-180E |
550kcal | 700L | 163,800円 |
ゼンスイ |
ZRW-400 |
1,200kcal | 2,000L | 142,200円 |
ゼンスイ |
ZRW-750 |
2,000kcal | 2,800L | 174,100円 |
ゼンスイ | ZRW-1500 | 4,000kcal | 5,500L | 435,700円 |
ゼンスイ | ZRC-400 | 1,200kcal | 2,000L | 162,800円 |
ゼンスイ | KDA500 | 1,200kcal | 1,600L | 223,477円 |
ゼンスイ | KDA501A | 860kcal | 2,000L | 217,400円 |
ゼンスイ | KDA1001A | 1,700kcal | 3,000L | 263,700円 |
ゼンスイ | KDA2000 | 5,000kcal | 9,000L | 604,173円 |
ゼンスイ | KDA2001A | 3,000kcal | 5,000L | 582,000円 |
ゼンスイ | KDA3000 | 6,300kcal | 6,000L | 671,554円 |
ゼンスイ | KDA3001A | 4,400kcal | 8,000L | 636,600円 |
ゼンスイ | 400CL | 1,200kcal | 2,000L | 329,600円 |
ゼンスイ | 600CL | 1,600kcal | 2,500L | 444,000円 |
ゼンスイ | 800CL | 2,000kcal | 3,000L | 538,700円 |
ゼンスイ | 1500CL | 5,000kcal | 5,000L | 824,000円 |
ゼンスイ | 2200CL | 6,300kcal | 8,000L | 999,100円 |
ゼンスイ | 400SP | 1,100kcal | 1,600L | 336,900円 |
ゼンスイ | 600SP | 1,350kcal | 2,100L | 432,600円 |
ゼンスイ | 800SP | 1,800kcal | 2,500L | 534,600円 |
ゼンスイ | 1500SP | 4,750kcal | 4,000L | 824,000円 |
ゼンスイ | 2200SP | 5,700kcal | 6,400L | 999,100円 |
ゼンスイ | ZCW-1000 | 3,100kcal | 3,000L | 641,700円 |
ゼンスイ | ZCW-2000 | 5,000kcal | 6,000L | 776,700円 |
ゼンスイ | ZCW-3000 | 6,300kcal | 8,000L | 916,700円 |
紫外線殺菌灯灯
初めて海水魚を飼ってみると飼ってる海水魚が次々と死んでしまうという現実に戸惑うことが多いものです。
海水魚が死んでしまうのでまた新しい海水魚を買ってきますがその海水魚も2〜3日すると白点が付いたりエラや尾がボロボロになってその内死んでしまいます。
そこで病気を治す薬を探し始めます。
薬といっても人間の薬のように水と一緒に口から2錠飲めばいいというほど簡単ではありません。
使用方法、注意書きをよく読んで一生懸命治そうとしてもあまり良い結果は出ません。
ほとんどがやっぱり死んでしまいます。次にどうして病気になってしまうのかを調べだします。
濾過の方法、濾材の良し悪し、pH、
相性など原因となりそうなものを調べていきその対策を立てていきます。
次々と良さそうと思えるものを試していきますがあまり満足の得られる結果は出てきません。
そこでいきつくものに紫外線殺菌灯があります。
病原菌を殺してくれるのでこれなら病気はなくなりそうです。
この装置は、紫外線を使って細菌を殺してしまうものです。
紫外線に殺菌力があるということはよく知られています。
日光消毒という言葉を聞いたことがあると思います。
真昼の太陽の光にかざしておくとバイ菌が死ぬというものです。
これは太陽光線に含まれている紫外線によって殺しているのです。紫外線に殺菌する力があるのなら水槽の中のバイ菌を紫外線を使って殺す装置をつくろうということでできたのが紫外線殺菌灯です。
紫外線というのは電磁波で光の一種です。
紫の色の光より波長の短い目に見えない光なのです。
紫外線の中にも波長の長いもの短いものがあってA,B,Cに分けられています。
波長の長いものからUV-A、UV-B、UV-Cとなっています。
太陽からはこの三つの紫外線が地球に届いています。
波長の短いものほど殺菌力は強くUV-Cが一番強い殺菌力を持っています。
私たち生物はこのUV-Cにしばらく当たり続けているとほとんど全部の生物が死んでしまいます。
それほど殺す力が強い紫外線が地球に届いているのに今も生物が生きていけるのはどうしてでしょうか。
それは波長の短い紫外線ほど物体に吸収されやすいという性質を持っているからです。
地球の上空にはオゾン層ができていてこのオゾン層にUV-C、UV-B、UV-Aの順に吸収されていきます。
UV-Cについては全部が吸収されてくれるのです。
地表で生活している私たち生物のもとには少しのUV-BとたくさんのUV-Aが届いているだけなのです。
その弱い紫外線でも日光消毒できるくらいの力を持っているのですから強い殺傷力のあるUV-Cを使えば強力な殺菌兵器になるわけです。
なぜ紫外線に殺菌能力があるかというとそれは生物が生きていく仕組みに関係しています。
生物というのは、糖と燐酸と塩基でつくられたDNA(デオキシリボ核酸)というものと蛋白質でつくられた酵素があるから生きていけるのです。
DNAというのはその生物の設計図のような作成マニュアルのようなものです。
酵素というのはその設計に従って作ったり組み立てたりする工具や機械のようなものです。
生物はDNAの設計どおり酵素が同じものを作っているのです。
その時に必要となる原料が食べ物です。
その時必要な動力が酸素です。
植物の場合は光も使って光合成で糖をつくりだします。
同じものを作っては古くなったものを壊してを繰り返しています。
常に新しいものに置き換えて生き続けているのです。
これが新陳代謝です。
作り変えていくときに異常なものがつくられてしまい前と違ってしまうとうまく機能しなくなります。
正常に機能しなくなった状態が病気です。
病気になった時設計図を見直して違いに気づき元に戻せた状態が病気が治った状態です。
設計図の一部が何らかの原因で書き換えられてしまったのがガンです。
設計図が違ってしまえば体はどんどん変わっていきます。
間違ったところを元に戻せなければ病気はどんどん重くなっていきやがては死を迎えます。
発がん物質というものがありますがこの物質はDNAの一部を書き換える能力があるものです。
だから発がん物質に触れたり食べたりしないよう注意をしなくてはならないのです。
紫外線も発がん物質と同じようにDNAに影響を与えてしまうものなので殺菌できるのです。
紫外線殺菌灯の仕組み
紫外線の中でも最も殺菌力が強いUV-Cを使って殺菌しようとするのが紫外線殺菌灯です。
紫外線UV-Cの波長は100nm〜400nmですが紫外線殺菌灯の波長はその中の253.7nmです。
紫外線は当たっていると人間も殺すほど威力がありますが物質に 吸収されやすいという性質があります。
紫外線殺菌灯は紫外線をよく通すガラス管の中でUV-Cを発生させています。
このガラス管はGL管(紫外線透過ガラス管)といい新しいGL管の紫外線透過率は75%あります。
でも紫外線に当たっていると紫外線に分解されてガラスはだんだん透過率が落ちていきます。
2,000〜3,000時間経過すると透過率は 50%にまで落ちてしまいます。
紫外線の威力が50%に落ちてしまったら紫外線ランプの交換です。
このGL管より性能の良いガラス管があります。
石英ガラスを使ったガラス管です。
石英ガラス管の紫外線透過率は100%です。
そしてこの管は6,000時間経過した後でも75パーセントの透過率があります。
すなわち石英ガラス管を使った紫外線殺菌灯は8ヵ月経ったとしてもGL管の新品と同じ透過率があるのです。
まだまだ威力は十分あります。
でも紫外線殺菌灯は長く使っていくうちだんだん紫外線の発生する量が少なくなっていきます。
光としては出ていても紫外線のない光になってしまうわけです。
そうなると殺菌力は無くなってしまいます。
そのため紫外線殺菌灯にはガラスの都合からと殺菌灯の都合からにより定格寿命が示されています。
GL管の方はガラス管の寿命になり4,000時間程度、石英ガラス管の方は紫外線発光そのものの寿命8,000時間程度になっています。
ガラス管にごみや汚れが付いていない状態の寿命なので使用状況によりさらに寿命は短くなります。
紫外線は細菌を殺す力を持っていますが細菌だけではなくどの生物に対しても影響を与えるのでコケの原因となる藻の胞子やカビの胞子なども殺します。
最近は紫外線の力で布団ベッドのダニを殺すという製品も売りだされています。
紫外線は人間に対しても有害なので肉眼で光を見たり皮膚にあてたりすると炎症を起こしたりガンになったりします。
UV-AやUV-Bは日焼け程度で済んでいますが紫外線殺菌灯はUV-Cなので危険です。
取り扱いには注意が必要です。
ただし 紫外線は空気中は通過しやすいのですが水中は空気中の1/5程度しか進めません。
そのため水槽で使う紫外線殺菌灯は紫外線を通さない筒の中に紫外線ランプを入れて筒とランプの狭い間に水を流して殺菌するようにしています。
紫外線ランプのところに送られてきた水に含まれているものにだけに効果が及ぶようになっています。そうすることで紫外線殺菌灯は人間にも水槽の中
の海水魚や生物にとっても安全に使うことができています。
殺菌灯で殺せるもの
メーカー・品名 | ランプW数 | 放射出力 |
---|---|---|
カミハタ ターボツイストZ 9W |
9W | 9,580 |
カミハタ ターボツイストZ 18W |
18W | 11,400 |
カミハタ ターボツイストZ 36W |
6W | 11,400 |
カミハタ CCL殺菌河童フィルター |
6W | 6,460 |
ライフガード QL10 |
10W | 21,800 |
ライフガード QL25 |
25W | 16,900 |
ライフガード QL40 |
40W | 17,910 |
テトラ UV-13W NEW |
13W | 9,510 |
テトラ UV-13AX |
20W | 9,510 |
テトラ UV殺菌灯 UV-60 |
7W | 5,445 |
テトラ UV殺菌灯 UV-120 |
11W | 9,510 |
テトラ UV400 |
5W | 7,940 |
レイシー UVF-600 |
18W | 44,940 |
レイシー UVF-1000 |
23W | 22,000 |
ゼンスイ UVクリーン13 |
13W | 9,800 |
NEWA ネワミラー 9W |
9W | 25,000 |
1.水槽内の濁りや黄ばみの原因となる浮遊 細菌や 原生動物またその細菌などを餌にしているバクテリアなどを殺してしまうので水が透明になります。
2.水槽内の水の流れによって運ばれるコケの胞子を殺してしまうのでコケが増えにくくなります。
3.水槽内に浮遊している病原菌・ウィルスや白点虫 (クリプトカリオンイリタンス)の仔虫を殺していまうのでこれらが原因でなる病気が減ります。
4.水槽内に浮遊している腐敗菌も殺してしまうので水の臭いもなくなり食べ残しの餌なども腐りにくくなります。
といった効果が期待できるので病気やコケなどで困っている人は設置すると良いと思います。
紫外線殺菌灯の能力
- 紫外線ランプからの距離が近いほど
- 紫外線に照らされている時間が長いほど
- 紫外線ランプの放射出力が大きいほど 殺菌効果は大きくなります。
- 各社の紫外線殺菌灯は紫外線の効果が得られる太さに作られているのでこの点は 気にしなくていいと思います。
- 紫外線殺菌灯は筒に流す流量(L/分)が決められています。
これに従っていれば効果が 得られるということになります。
早く水を流しすぎると充分な照射時間を得ることができず
殺菌できないままの水が水槽に戻されてしまいます。
カミハタの殺菌灯は照射時間を長くする工夫として水を紫外線ランプに対して斜めに流すようにしています。 - 紫外線ランプの放射出力は製品によって異なっているので上表を参考にしてみてください。
この放射出力はランプが新しいときの数値で使っていくうちに数値が下がっていきます。 放射出力(照射度または放出出力)は使っているうち減っていくので普通GL管は半年で新品に交換、石英ガラス管で1年で交換する必要があります。 たびたびランプは交換しなくてはならないので水に浸っている紫外線ランプを交換しやすいよう各メーカーで工夫しています。 テトラUV-13はカートリッジ式にしているので交換が簡単です。 東熱はGL管の外側に石英ガラス管をかぶせて紫外線ランプに水が触れないようにして交換のときはランプだけを交換できるようにしたタイプを考えています。 このような工夫をしていないタイプは水にぬれた紫外線ランプを交換することになります。 また紫外線は紫外線ランプを覆っている筒にも照射しているので筒自体が紫外線で少しずつ分解されていきます。 分解されにくいプラスチックとしてフッ素系のものがありますが東熱のようにフッ素樹脂で筒を作ってあれば長持ちすることになります。 カミハタのようにプラスチックの筒の内側にフッ素樹脂の塗装をして対処しているメーカーもありますが長い間には塗装がはがれることが考えられなくもありません。 現在日本で売られている紫外線殺菌灯はアメリカ製でライフガード、ドイツ製でテトラ、 台湾製でアズー、日本製で東熱、レイシー、カミハタ、ニッソー、日成、コトブキ、ゼンスイなどがあります。 メーカーの公表している数値と現在市場で売られている大体の値段を並べると下の表のようになります。
品名 | 水槽水量(L) | ポンプ流量 (L/分) |
ランプW数 | 本体参考価格 | 替ランプ 参考価格 |
備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
ライフガード QL15 |
450L以下 | 20L/分以下 | 15W | 22,248円 | 8,116円 | |
ライフガード QL25 |
600L以下 | 48〜65L/分 | 25W | 23,658円 | 7,714円 | |
ライフガード QL40 |
1300L以下 | 95〜127L/分 | 40W | 33,784円 | 9,064円 | |
東 熱 10W |
80〜120L | 8〜12L/分 | 10W | 23,868円 | 2,700円 | 石英管なしタイプは15,922円 |
東 熱 15W |
120〜180L | 12〜18L/分 | 15W | 28,917円 | 3,400円 | 石英管なしタイプは 18,277円 |
東 熱 20W |
250〜350L | 25〜35L/分 | 20W | 36,261円 | 4,217円 | 石英管なしタイプは 22,526円 |
東 熱 30W |
80〜120L | 5〜10L/分 | 30W | 45,441円 | 4,300円 | 石英管なしタイプは 26,651円 |
カミハタ ターボツイスト Z9W |
300L以下 | 10〜25L/分 | 9W | 12,508円 | 2,200円 | |
カミハタ ターボツイスト Z18W |
600L以下 | 20〜50L/分 | 18W | 16,690円 | 3,446円 | |
カミハタ ターボツイスト Z36W |
1200L以下 | 17L/分 | 36W | 30,651円 | 4,937円 | |
カミハタ CCL殺菌河童フィルター |
20〜100L | - | 6W | 14,256円 | - | ランプ寿命 40,000時間 |
テトラ UV400 |
50〜400L | 2〜20L/分 | 5W | 9,700円 | 2,817円 | |
テトラ UV-13W NEW |
450L以下 | 15〜30L/分 | 13W | 16,371円 | 2,014円 | カートリッジ4,999円 |
テトラ UV-13AX |
450L以下 | 20W | 16,371円 | 1,896円 | カートリッジ\5,410 | |
テトラ UV殺菌灯 UV-60 |
250L以下 | 2〜6L/分 | 7W | 16,371円 | 1,790円 | カートリッジ5,450円 |
テトラ UV殺菌灯 UV-120 |
450L以下 | 2〜20L/分 | 11W | 8,219円 | 2,014円 | カートリッジ6,372円 |
レイシー UVF-600 |
600L以下 | 20〜40L/分 | 11W | 44,940円 | 7,980円 | |
レイシー UVF-1000 |
1000L以下 | 15〜20L/分 | 15W | 62,000円 | 21,394円 | |
レイシー VC-8N |
150L以下 | エアーリフト式 | 8W | 22,000円 | 10,000円 | |
リスター 4W NS-S4 |
50〜200L | エアーリフト式 | 4W | 13,320円 | ||
アクアシステム マルチスキマー |
100L以下 | 20W | 23,060 | 1,830円 | ||
ゼンスイ UVクリーン13 |
500L以下 | 13W | 10,080円 | |||
ゼンスイ UVバズーカ 13W |
500L以下 | 10〜30L/分 | 13W | 9,600円 | 3,600円 | |
コトブキ ウルトラV6 |
300L以下 | 6W | 28,048円 | 7,000円 | ||
コトブキ ウルトラV10 |
600L以下 | 10W | 33,000円 | 11,000円 | ||
NEWA ネワミラー 9W |
140L以下 | 17L/分以下 | 9W | 20,800円 | 3,240円 | |
アズー UV―C9W |
200L以下 | 9W | 7,754円 | 3,928円 | 12V仕様 60cm以下水槽用 |
殺菌灯はあったほうが良いのか
効果があると主張している人は
- W数が高い殺菌灯を使っている。
正確には放射出力が高いもの。 - 水が透明になったと実感している。
- 指定されたポンプ流量内で使っている。
- ランプ交換を半年ごとに定期的に行っている。
- ワット数の低い紫外線殺菌灯の場合としていますが実際には同じワット数でもメーカーごとに放射出力(μW・S/cm2)が違うのでワット数での単純比較ではなくなります。
水槽の大きさに適した紫外線殺菌灯でなければ期待した殺菌力が得られないのは当然です。 早い水流で殺菌ランプを通り過ぎたのでは充分な殺菌力を得られないのも当然です。 - 白点病は海水魚に寄生する白点虫によって引き起こされる病気です。 海水魚を直接紫外線で照射しない限りこの白点虫を殺すことはできません。 紫外線殺菌灯が効果を発揮できるのは海水魚の体から離れた白点虫の仔虫が殺菌ランプのところに流れ込んだ時だけです。 そして白点虫の仔虫は細菌やウィルスなどよりずっと大きいので放射出力の大きな紫外線ランプでないとあまりダメージを与えられないのです。 放射出力の大きな紫外線ランプなら仔虫も殺せます。
- コケも胞子が浮遊して繁殖しているので紫外線殺菌灯の中に流れ込んできたものは殺すことができます。 でもすでにガラス面や岩などについてしまっているコケは紫外線殺菌灯の中に流れることはないのでこれらのコケはまったく減らないことになります。 同様に硝化バクテリアなどの有用細菌も岩や砂、濾材などに張り付いているものなので紫外線殺菌灯の中に流れ込んできません。 そのためこれらのものが減る心配はまったくありません。 ただ水槽の立ち上げ時で水が出来上がっていないときの有用バクテリアは十分に活着していません。 水の中に浮遊している状態なので紫外線ランプで殺されてしまいます。 この時期は紫外線殺菌灯は点灯しないようにする必要があります。
紫外線殺菌灯の効果は必ずあると思います。余裕を持たせた使い方をすればです。 ショップではどの店も紫外線殺菌灯を使っています。 コケの胞子を殺してコケが生えずらくする効果はありますし細菌やウィルスを殺す効果はあります。 ショップによっては紫外線殺菌灯を2重にも3重にも接続させているところもあります。 それほど細菌を確実に殺さなくては病気が蔓延してしまう心配があるのです。 そのようにしてショップで守られてきた海水魚は海水魚自体の細菌に対する耐性が無くなっていきます。 耐性のない海水魚を買ってきて紫外線殺菌灯のない水槽に入れるとたちまち病気に罹ってしまう心配があります。 それを防御するためにある意味紫外線殺菌灯を備える必要があると言えなくもありません。 でも紫外線殺菌灯に流れ込んでくる流量だけで水槽全体の白点虫のシストを全滅させることはできません。 そのためショップで売っている海水魚で白点病にかかっている海水魚を見かけることもあります。 何でも殺してくれるというほど万能なものではないことも確かです。 また紫外線殺菌灯を使うと水槽の水温を上昇させます。 指定通りの使い方をして 1℃くらいの温度上昇があります。 一ランク上の紫外線殺菌灯を使えば これ以上の水温上昇となることもあるので クーラーの使用は絶対条件にはなります。
オゾナイザー
オゾナイザーはオゾンの酸化力を使って
細菌やコケの胞子を殺していく器具です。日本ではこの目的で使う器具としては紫外線殺菌灯のほうが断然多くオゾナイザーはプロ以外ではあまり使われていません。
効果としてはオゾナイザーのほうが高くランニングコストも低いです。
でも使用するときの調整が微妙で紫外線殺菌灯のように水槽に入れるだけという訳にはいきません。
オゾナイザーは空中から空気(酸素)を取り入れてオゾナイザーの中でオゾンを作ります。
このオゾンを水槽の水に混ぜて細菌などを殺していきます。
オゾナイザーで作られるオゾンの量は空中の湿度に関係していて湿度が高いとほとんど作られません。
ということから効果的にオゾンを作るためにはエアードライヤーに通した空気をオゾナイザーに通すようにすればよいわけです。
オゾンは酸化力が非常に強くオゾンを含んだ水の中では病原菌どころか硝化バクテリア、脱窒菌、サンゴ、エビ、海水魚までが攻撃を受けて殺されていきます。
オゾナイザーで作られたオゾンは水槽の水とは離れたプロテインスキマーの中のようなところに送るようにします。
オゾンをプロテインスキマーから空中に放出させるようにします。
さらにプロテインスキマーから流出する水は活性炭フィルターを通してから水槽に戻すようにしているのが普通です。
こうすると水槽内の水はプロテインスキマーに流れてオゾンで殺菌されその後活性炭で浄化されて水槽に戻されることになります。
オゾナイザーには発生させるオゾン量を調節するダイヤルが付いていてダイヤルを調節して適正なオゾンを流すようになっています。
適正なオゾン量は水槽の大きさ(全体の水の容積)、水流量、飼育生物の種類、飼育生物の数、含有有機物量、濾過方式などにより異なり微妙な調節を必要とします。
たとえば60cm水槽で海水魚を多く飼育しているようなときは 5~10mg/hrくらいに調整しサンゴなどの飼育のときは5mg以下にします。
これより多くのオゾンを流してしまうと飼育生物自体がダメージを受けてどんどん弱っていってしまいます。
オゾンは酸化力が非常に高いので細菌などを殺す以外に有機物やにおい物質なども分解し脱臭作用もあります。
アンモニアも分解して硝酸塩にする濾過作用もあるのでオゾナイザーは大変有用な器具であるといえます。
プロテインスキマー
プロテインスキマーは水中にあるタンパク質(そのほかに有機物、ミネラル、ゴミ、細菌、コケの胞子なども)を空気の泡にくっつけて水槽外の容器に運んで取り除いていく物理的濾過器具です。
この器具は水中で泡を発生させる部分と泡にくっついたものを捨てる部分で構成されていて泡を発生させる部分の違いにより4種類に分けられます。
プロテインスキマーの動作としては まず 水中に細かい空気の泡を発生させます。すると泡の周りにタンパク質など不純物が電気的に引き寄せられてくっつきます。
泡はタンパク質などをくっつかせた状態で浮き上がっていきます。
浮き上がった泡をごみ受けのカップ(コレクションカップ)やボトルに移動させます。
移動して集められたごみを洗って捨てます。
これによってタンパク質などを水槽内から除くことができるようにしたものです。
普段のメンテナンスは汚くなったごみ受け部を2〜3日おきぐらいに洗うことだけなのでごみ受け部を簡単に外せるものがメンテナンス性が良く楽です。
プロテインスキマーで作られる泡はマイナスに帯電しています。そのためプラスに帯電している物質があると電気的に引き寄せくっつけます。食べ残しの餌などタンパク質や水中に浮遊しているゴミはプラスに帯電しているため電気的に引き寄せられ泡にくっついてコレクションカップに運ばれていきます。一方病原菌などの細菌類はマイナスに帯電しているものが多くほとんど泡ににくっついてはくれないので病気を減らす効果は低くなります。
プロテインスキマーは泡の発生方法によりエアーリフト式、ベンチュリー式、ディスパーセレイター式、ダウンドラフト式の種類があります。
また器具の設置方法によって水槽やサンプの中に入れて使う内部式、水槽から離して設置する外部式、水槽の縁に引掛けて使う外掛け式のものがあります。
プロテインスキマーはベルリン方式 で必要とされる装置ですが従来方式(普通行っている濾過方法)で使っても効果が得られるものです。
従来方式とはタンパク質が変化して 作られていく有害なアンモニアを無害な硝酸塩まで 変化させることで飼育生物の安全を維持していくシステムです。
従来方式は硝化バクテリアの数が多いほど能力が高いと言えます。
硝化バクテリアがたくさんいればアンモニアは直ぐに硝酸塩まで変えられますが硝化バクテリアを増やすには餌となるアンモニアがたくさんある必要があります。
一方プロテインスキマーはアンモニアの元となるタンパク質を水槽内から無くしていくシステムです。
プロテインスキマーを使うとアンモニアは増えていきません。
水槽内にアンモニアが増えていかなければ餌がないため硝化バクテリアは増えることができません。
でもアンモニアが増えていかなければ硝化バクテリアを増やしていく必要はなくなります。
硝化バクテリアが増えなければ硝酸塩は作られないので硝酸塩を捨てるための水替えをしなくて済みます。
水替えは硝化バクテリアがたくさん増えるほど頻繁に行う必要のある作業なのでプロテインスキマーを使うと水替えの間隔を延ばすことができます。
このように優れた効果のあるプロテインスキマーは海水専用の器具です。
熱帯魚の飼育や川魚飼育のような淡水では使えない器具です。
海水には多くのミネラルが含まれていてこれにより電気伝導性が高くなっています。
そのため海水の中で小さな泡を発生させると泡の表面に有機物や細菌、胞子、ゴミなどが電気的に引き付けられます。
海水は粘性が高く泡は淡水のようにすぐ消えていくことなく長い間泡の状態を保っています。
泡がタンパク質をくっつけた状態で水中から外に運ばれていき溜まった泡とタンパク質を洗うことで捨てることができます。
プロテインスキマーを使うと不要なタンパク質、細菌、コケ胞子などを取り除けますが生物にとって必要とする各種ミネラルも一緒に取り除かれてしまいます。
そのため水替えだけではミネラルが不足になりがちです。
コンディショナー、添加剤などを使って不足するミネラルを補充していくことになります。
プロテインスキマーを選ぶとき水槽の大きさで機種を選びますが適応水量は魚だけの飼育のときが基準となります。
200Lまで使えるとなっている場合、魚だけの飼育のときは200Lの水槽まで使える能力がありますがサンゴの飼育だと半分の100Lの水槽までとなります。
更にミドリイシの飼育ではその半分の50Lの水槽までしか使えないことになります。
- レッドシー
テトラ
東熱
ゼンスイ
CPR Aquatic
B.R.S
マメデザインアクア
AE Tech
Aqua C
AQUA MEDIC
Aquarium Systems
American Systems
H2O systems
Perfect Reef Systems
Skimz
Wavereef
H&S
MTC
PM
E.T.S.S
PRS
ReefLive
REEF OCUTOPUS
SNM
WEIPRO
アクアシステム
アクア工房
アクアファクトリーショウエイ
カミハタ
ジェックス
アクアギーク
アズー
グローテック
ブルーハーバー
KORALLIN
ナプコリミテッド
D-D
MMC企画 などです。
プロテインスキマーの種類
1.エアーリフト式
エアーポンプで木製のエアーストーン(ウッドストーン)に空気を送りウッドストーンから細かい空気の泡を発生させ泡を水面上へ浮き上がらせます。
空気の泡にくっついたタンパク質をごみ受けカップやボトルの中に集めて捨てるようにした方式です。最初に考えだされたプロテインスキマーですがその後より効率のよい方式が考えだされ現在ではあまり使われなくなってきています。
水槽内に入れて使うのが普通なのでプロテインスキマーの分だけ水槽内が狭くなり見栄えが悪くなります。
でも構造が簡単で安価に作れるため小さな水槽向けのプロテインスキマーになります。
エアーポンプからの空気を利用しているためあまり大きくすることはできずそれほど能力を高くすることはできません。
このプロテインスキマーはウッドストーンが詰まると能力が落ちるのでウッドストーンのメンテナンスをしていく必要があります。
ウッドストーンはメンテナンスをしていてもだんだん細かい泡を作る能力が落ちていくので(小さな泡ほど全体としての泡の表面積は大きくなりたくさんのタンパク質などを取り出すことができます)
半年ぐらいで新しいものと交換していかなくてはなりません。
2.ベンチュリー式
ベンチュリー管を使って取り入れた空気をインペラーでかき混ぜて小さな泡を作っている方式です。 エアーリフト式よりたくさんの空気を取り込むことが可能で能力の高いものにすることができます。現在使われている多くのプロテインスキマーが基本的にはこの方式で色々なメーカーの製品が売られています。 水中ポンプで水流を作っていますが機種によりエアーポンプより大きな音が発生してしまうものもあります。
3.ディスパーセレイター式
この方式はベンチュリー式のインペラー部分を改良して剣山型の形状にしたものでより強力に空気と水がかき混ぜられるようにしたものです。ベンチュリー式の進化型で現在販売されている多くのプロテインスキマーがこの方式にあたるでしょう。
4.ダウンドラフト式
この方式はベンチュリー式やディスパーセレイター式のように 水流ポンプの回転で水と空気を混ぜるのではなくドライボール(バイオボール)と呼ばれる複雑な形状のプラスチックに勢いよく水と空気をぶつけて小さな泡を作っています。 自然界の海で強い風と強い波が岩にぶつかったとき波の花と呼ばれる泡ができることがあります。 ベンチュリー管を通した強い水流をドライボールに当て波の花ができる原理を応用して泡を作っています。 より強力な水流を作るために空気の取り入れをベンチュリー管ではなくベケットヘッドにしているものが多いです。
プロテインスキマーで得られるメリットは
- 水槽内に増えていくアンモニアの量が少なくなるので能力の高い濾過装置でなくても大きな海水魚、たくさんの海水魚の飼育ができます。
ベルリンシステムのように濾過装置なしでも生物の飼育を続けていくことが可能になります。 - アンモニアの生成量が少なくなるので硝酸塩がなかなか増えていかず水替えを する必要性が低くなり水替えの間隔を延ばすことができます。
- タンパク質など有機物が除かれるのでデトリタス などができにくく水の黄ばみや異臭の発生を少なくします。
- 水中から硝酸塩、リン酸塩などが除かれていくのでコケ類の発生が抑えられます。
- 水中に酸素が豊富に含まれていることは飼育生物にとって良いことですが 硝化バクテリアに働いてもらうためにも良いことです。プロテインスキマーを使うことは同時に エアレーションもしていることになり溶存酸素量が増加します。 普通、海水水槽でエアレーションすると 塩だれを起こすという支障が出ますがプロテインスキマーでは泡の発生が容器内に収まるため塩だれが起きません。
- 水中に漂っている雑菌や病原菌などもわずかながら泡と一緒に取り出されるので飼育生物が病気になる危険性を低くする効果もあります。