濾過とはどういうことでしょうか?そしてその方法は
水槽で海水魚を飼うために必要なことは

水槽の中に自然海と同じ環境を作ることができれば水槽で海水魚を飼っていくことができます。
でも水槽という狭い入れ物の中で飼育していくには自然と違う方法を使わなくては飼育していくことはできません。
水槽の中に海水を入れただけでは飼育していくことはできませんし、飼育し 続けていくためには自然界では必要のない濾過装置(濾過フィルター)が必要となります。
海水魚が自然界で生きていられるのは海水魚の周りに食物連鎖ができていて海水魚がその一員となっているからです。
それに対し水槽内は食物連鎖がつくられてないのでそのままでは生き続けることはできません。
海水魚が生き続けるためには食物連鎖の代わりになるものを用意しなくてはなりません。
その代りになるものが濾過装置です。
水槽で海水魚を飼っていくためには瀘過装置で食物連鎖的なものを作っていく方法をとります。
動物が食べる 肉食動物が
食べる
↑ ↓
5.バクテリアの糞(硝酸塩) ← 4.肉食動物の死骸を
が植物の肥やしになる バクテリアが食べる
現在生きている生物はこのサイクルの一員になれているから生きていられるのです。 水槽の中では食物連鎖に必要なものが不足していてそのままでは海水魚を飼い続けていくことはできません。 水槽内にないものは何でしょうか?
- 水槽内には植物(草食動物の食べ物)がありません。
- 食べ物がないので草食動物がいません。
- 草食動物を食べる海水魚(正確には雑食性)はいます。
- 糞、死骸などを食べる物を腐らせる バクテリア (バチルス菌など)はいます。
- 硝酸塩を作る 硝化バクテリア (ニトロソモナス、 ニトロバクター)はいません。
- 植物がないので硝酸塩は必要ありません。
そのため水槽内では食物連鎖が成り立っていません。
私達アクアリストは水槽内の問題点 1.と 2.は海水魚に餌を与えることで解決しました。
でも 4.の物を腐らせるバクテリアはいるのですが 5.の硝酸塩を作るバクテリアがいません。
ということは水槽内で餌を与え続けていくと海水魚の排泄などにより腐ったものがどんどん増えていくということになります。
水槽という囲まれた中に腐ったものが増えていけば生き物は生き続けていくことはできません。
腐ったものを硝酸塩に変えるバクテリアが育ってくれれば水槽内に特殊な食物連鎖が作られたことになります。
これを食べる バクテリアがアンモ
ニアに変える
↓
5.増えていく硝酸塩を ← 4.硝化バクテリアが
水槽の外に捨てる アンモニアを硝酸
↓ 塩に変える

海水魚は生きていくために食べ物と酸素で体を作りそしてエネルギーを得ています。
タンパク質は体の材料となり古くなったものは糞やアンモニアとして排泄されます。
炭水化物はエネルギーにされ使われたあとおしっこと炭酸ガスとなります。
すなわち生物の体はタンパク質で作られていて生物の排泄する糞もタンパク質です。
タンパク質はタンパク質を分解するバクテリア(物を腐らせるバクテリア)によってアンモニアに変化させられます。生物がいればアンモニアは次々作られていきます。
それなのにアンモニアは 生物にとって害のある物質でアンモニアのある水中では生物は生きていけません。
水中にはタンパク質をアンモニアにするバクテリアのほかに硝化菌(硝化バクテリア)というアンモニアを餌にしているバクテリアも棲んでいます。
硝化バクテリアはアンモニアを無害の硝酸塩に変えてくれるバクテリアです。
濾過フィルター内で硝化バクテリアが育ってくれればアンモニアがなくなっていくので海水魚は生き続けていけます。
アンモニアは生物が生命活動をすればその結果として作り出されていくものです。
生物は食べ物と酸素とからエネルギーを作り出し、エネルギーを作るときに同時に作られる炭酸ガス、水、アンモニアを捨てています。
生物が捨てている炭酸ガス、水、アンモニアのうちアンモニアが生物にとって有害なものなのです。
実際には水中のアンモニア(NH3)はイオン化してアンモニウムイオン
(NH4+)の形になります。
アンモニアがアンモニウムの形になっているときは生物にとって害にはなりません。
そのためアンモニアが排泄されても生物は直ぐに死ぬことはないのですがアンモニアの量が増えていくと全部がアンモニウムになりきれずアンモニアのある水になり生物は病気になり死んでいきます。
アンモニア(NH3)は硝化菌(ニトロソモナスとニトロバクター)によって硝酸塩に変わっていきますが最初はニトロソモナスによって亜硝酸イオン(NO2-)という物質に変えられます。

このようにアンモニアは2種類の硝化バクテリアによって結果的に硝酸塩に変えられます。
硝酸塩は無害な物質ですが量が多くなりすぎると残念ながら害になってしまいます。
そのため海水魚を飼い続けていくためには増えた硝酸塩を捨てて新しい水と入れ替えていかなくてはなりません。
これが水槽で海水魚を飼うために必要な定期的な水替え作業です。
海水魚に餌を与え硝化バクテリアを育て定期的に水替えしていけば水槽で海水魚を飼育していくことができます。

濾材について
汚れた水をきれいにすることを濾過といいますが濾過をするためには濾材が必要になります。 濾過には物理濾過、生物濾過、化学濾過の3通りのものがあってそれぞれに適した濾材があります。
- B-Blast
クリオン
フレックス
JUN
JUNコーポレーション
Leaf Corporation
マーフィード
アクアガーデン
アクアシステム
アズー
ピクタ
ダイカ
コメット
マット工房
サンミューズ
シマテック
ウォーターエンジニアリング
エフィッシュ
匠
パピエ・C
チャフスカラップ
林化成
エーハイム
テトラ
セラ
デュプラ
ジェックス
コトブキ
スドー
ニッソー
日本動物薬品
水作
トット
キョーリン
ジクラ
シーケム
ソネケミファ
デュプラ
バイコム
林化成
パワーハウス
ベルテックジャパン などです。
1. 物理濾過
物理濾過をするための濾材はウールマットと呼ばれる白い綿のような濾材です。 水中を漂うゴミや汚れを取り除く目的のものです。 汚れて透明度が低くなった水中のゴミなどが濾材に引っかかって取り除かれ 濾材を通り抜けた水は透明度が戻ります。 ただし、この濾材で取り除ける汚れは比較的大きなゴミなどで濾材を通り抜けてしまうごく細かいものは化学濾過でなければ取り除けません。 物理濾過を目的とした濾材ですがしばらく使っていればそこにバクテリアが棲みついて生物濾過としての役割を持つようになります。 この濾材はゴミやデトリタスなどによって詰まりやすいため度々メンテナンスをして通りを良くしていかなくてはなりません。
2. 生物濾過
もっとも重要な濾過で硝化バクテリアの力で濾過させるものです。
ろ材といえばこの目的の濾材がほとんどです。
硝化バクテリアが活動しやすいか 濾材上でいかにたくさんの硝化バクテリアを増やせるかを探求して数々の製品が売られています。
硝化バクテリアは物体の表面に棲みつきますからできるだけ表面積の広い濾材が優れたものになります。
かつ好気性バクテリアである硝化バクテリアは酸素を含んだ新しい水が濾材の内部まで流れていくことが重要になります。
濾材はしばらく使っていると隙間にゴミやデトリタスなどが詰まっていきます。
この状態になると濾材の中に水が流れにくくなり水はわずかな隙間だけを流れるようになります。
こうなると最初は大きな濾過能力を持っていた濾材も濾過能力の低いものとなってしまいます。
このような状態をチャネル現象といいます。
だんだんチャネル現象は進行していくので定期的にメンテナンスして詰まりをなくしていきます。
濾材を水洗いして汚れを流せばよいのですがこのとき水道水を使うと含まれる塩素によって硝化バクテリアが死んでしまいます。
水槽の捨て水で洗うなどして硝化バクテリアを大切に扱います。
良い濾材とは、表面積が広く詰まりの個所が増えていきづらいこととメンテナンスで簡単に詰まりが取れてくれるものということになります。
3. 化学濾過
水質が悪化してくると水が濁ってきます。
物理濾過ではとることのできない腐敗物やにおい物質フェノールなどが原因のことが多いです。
このような状態になったときはゼオライトや活性炭を使って化学濾過することになります。
化学濾過は吸着という作用で物質を吸い付けこれを化学変化させて違う物質に変えてしまう濾過方法です。
飼育水が濁ったり臭いがするようなときは病原菌が繁殖しやすく病気になりやすい水質になっています。
化学濾過をしてさらに水替えをして正常な水質に戻さなくてはなりません。
以上が濾材の種類になりますが濾材を使って濾過を行う濾過装置としてはいろいろなものが考えだされ製品として売り出されています。
ろ過装置は濾過する方式により以下のように分けることができます。

投げ込み式フィルター(水中フィルター)
初心者や子供向けで比較的小型の水槽を対象にした濾過フィルターです。
水中に沈めた濾過フィルターにエアーポンプから空気を送り、空気の泡が水面に上がっていく流れを利用して水の流れを作り濾過していく方法です。
安価で手軽に使えますが水槽の中に置くフィルターなのであまり大きくすることができず濾過能力はあまり高くすることはできません。
この濾過フィルターはエアーポンプの空気の流れを利用してますが 空気の流れではあまり強い水流を作ることができないので能力の向上は望めません。
淡水魚の飼育を小さな水槽でするにはこのフィルターでも可能ですが海水魚の飼育には不向きです。
エアーポンプの空気の流れを利用するのではなく水中ポンプを組み入れて能力を高めたタイプもあります。
エアーポンプは振動や音が割と大きいものが多く音が気になる人は音のしない水中ポンプ式を選べばよいことになります。
卵から孵ったばかりの稚魚や小エビなどの飼育ではあまり強い流れを作らないようにして吸込口から飼育生物が吸い込まれないようにすることが必要になります。
そのようなときにはスポンジフィルターを使うのがよいでしょう。

外掛けフィルター(ワンタッチフィルター)

濾過フィルターを水槽の外に出して水槽の脇に引掛けて取り付けるようになっています。
メンテナンスは専用濾材を交換するだけでとても楽です。
日本では上部フィルターが普通によく使われていますが欧米ではこの外掛けフィルターが普通に使われています。
水槽の脇が少し出っ張るくらいで場所を取らず上部フィルターのように水槽の上面半分をふさいでしまうことがないのでうっとうしさもありません。
あまり大きなものはなく主に淡水魚用に作られているので海水魚用の単独使用としてはあまり向いていません。
ほとんどが小型水槽向けのものですが60cm水槽以上用のものもあります。
最近では濾過能力の高いものも登場しているので製品によってはあまり大きくない水槽の場合は海水魚用としても使えます。


底面フィルター
昔から熱帯魚飼育でよく使われてきた濾過フィルターで濾材を使うのではなく底砂全体を濾材として利用するものです。
エアーポンプから送られた空気の上昇する流れを利用して水槽内の水が底砂を通して流れるようにしたものです。
底砂全体が濾材となるため効率の良い濾過フィルターと言われてきました。
しかしエアーポンプからの空気の流れを利用しているため大きな水流は作れずあまり大きな濾過能力は得られません。
エアーポンプを使わず水中ポンプを組み入れて能力を高めたものもあります。
ただ勘違いしがちなのですが水流を高めれば大きな濾過能力が作れるかというとそういうわけではありません。
水流が早いと硝化バクテリアをよく育てることができません。
ろ材を通過する水流はゆっくりのほうが硝化バクテリアが良く育ち濾過能力を高めることができます。
底面フィルターの欠点はメンテナンス性の悪さです。
メンテナンスするには底砂をほじくって行わなくてはなりません。
底砂の奥で増えてしまった細菌や有害物質をメンテナンス時に水中に散らしてしまうことになります。
そのあげくメンテナンスをして綺麗にしたはずなのに海水魚を次々病気にさせて死なせてしまったということがよく起こります。
メンテナンスに弱点のある底面フィルターは水質悪化に弱い海水魚の飼育には不向きなものです。
ただ別のフィルターと併用して別のフィルターのメンテナンスは頻繁に行い、底面フィルターのメンテナンスを数年に一度というやり方でうまく水槽を維持している人もいます。


上部フィルター

水槽の上に取り付けるタイプの濾過フィルターで普段よく見かけるものです。
熱帯魚飼育で昔から普通に使われていてメンテナンスはウールマットを取り換えるだけで簡単です。
規格水槽で専用蛍光灯照明(現在はLED照明)とセットで使うと収まりが良いのでよく使われています。
特に初心者用熱帯魚セットに組み込まれて安く売られているため多くの人が使っていますが海水魚飼育では少し濾過能力不足気味です。
そのため能力を高めるため底面フィルターと接続するアタッチメントが売られていたりします。
また濾材をセラミック濾材に替えたりして工夫をすると効果が高まります。
そのほか大型にし海水魚用として濾過能力を高めた製品も販売されています。


外部フィルター

パワーフィルターとか密閉式フィルターとも呼ばれています。
濾過フィルター部を水槽の外に置き、水を水槽と濾過フィルターの間を循環させて濾過していきます。
底面フィルターとともに昔から使われてきた濾過フィルターでドイツのエーハイムという会社のものが有名ですし種類も多く信頼性もあります。
かなり濾過能力は高くメンテナンスも水槽部を触ることなくでき使いやすいものです。
小型水槽用から大型水槽向けとたくさんのタイプが用意されているので自分の水槽にあったものを選びます。
ただし、ろ過フィルターの適応水槽は淡水熱帯魚用の基準なので海水魚の場合はワンランクかツーランク上を選ぶか複数本のろ過フィルターを使うようにします。
また他のフィルターと比べ空気の取り入れが悪くなりがちなので海水魚用で使うときはデュフューザーをつけるなど工夫する必要が出る場合もあります。
濾材もいろいろな種類が用意されていて飼育する生物によって濾材の種類や組み合わせを変えたりすることができます。
外部フィルターはろ材が詰まると水の流れが弱くなって濾過能力が落ちます。
フローチェッカーを付けておくと流れの勢いを見て確認することができるのでろ材の交換時期を知ることができます。

オーバーフロー式フィルター

水槽の底に穴をあけパイプをつけて水槽の水がパイプを通して下に流れ落ちるようにしてあります。
水槽の下にはサンプと呼ばれる別の水槽を置いておきこの中に濾材を入れて濾過します。
濾過されたサンプの水はポンプで汲み上げ上の水槽に戻して循環させます。
濾過能力が高いので海水魚飼育でよく使われています。
サンプの大きさは自由で大きなものを使うことも可能なため濾材を多くして濾過能力を高めることもできます。
濾過能力が高いのでたくさんの海水魚を混泳させたり大きな海水魚を飼育する場合に特に適しています。
メンテナンスも水槽に手を触れることなくサンプだけの作業となるのでしやすいものと言えます。
プロテインスキマーや紫外線殺菌灯などを付加する場合はサンプ内に設置することができるので水槽内に余計な器具や配管など入れずに済みます。
既製品のオーバーフローセットを買うのではなく DIYでオーバーフローシステムを作リあげる人も多いものです。 オーバーフロー水槽製作のときショップやホームセンターなどでは中々手に入れることができない特殊なパーツ類があります。 そのようなパーツ類を通信販売で販売しているところがあるのでそこで手に入れることができます。
オーバーフローは水槽の底に穴を開けますが底ではなく側面に穴をあけて製品にしているタイプのものもあります。 この方式は上下2段に水槽を重ねた形になるのではなく水槽の横に濾過槽を並べた形になり配管類やろ過フィルターが水槽内に見えないのでスッキリと収めることができています。 メンテナンスは濾過槽だけの作業となるので水景を崩すことはありません。
メイン水槽に穴を開けることなく普通の水槽を使ってオーバーフロー濾過する方法としてサイフォンボックス(オーバーフローボックス)を使う方法があります。
この方法はサイフォンの原理を利用してメイン水槽の水をサンプに流し入れるものです。
自作でも可能ですがサイフォンがうまく働かないことが起きると水槽から水が溢れ出て床が水浸しになってしまうので大変なことになります。
サイフォン部分にゴミやコケなどが詰まって流れが止まってしまったとき水があふれないような対策を施しておく必要があります。

流動フィルター
粒状の濾材を密閉容器に入れ水槽の水を容器の下側から流し入れます。
すると水は中の濾材を巻き上げながら流入していきます。
容器の上部に流出パイプをつけて水槽に戻すようにして水を循環させ濾過します。
このフィルターは濾材が重なることがなく常に新しい水に触れているので濾材全体が100%濾過作業をし続けるので大変効率の良い濾過フィルターです。
濾材が水流の中にあり絶えず洗われている状態なのでデトリタスなどが溜まることがなく濾材はずっときれいな状態を続けていきメンテナンスをほとんど要しません。
この方式は大規模に行われている下水処理施設で使われている方式をアクアリウム用に応用したものです。
濾過効率が高くメンテナンス性も優れているので理想的な濾過フィルターといえるのですが現在のところあまり大きなものは売られていません。
大きなものを自作で制作することは容易です。この濾過器の手前にまずメンテナンスしやすい物理濾過部を設置し日頃のメンテナンスはここのマットを取り替えるだけにします。
その次にエアレーションさせる槽を設けます。これに大きな流動フィルターを組み合わせれば強力なろ過装置を作ることができます。


ベルリン式濾過
海水魚の飼育というよりよりサンゴなど水質の悪化に弱い生物を飼育するのに適したろ過方式です。
糞や食べ残しの餌などアンモニア発生の元となる タンパク質をアンモニアに変わる前に取り除いて水質を保とうとする方式です。
プロテインスキマーという器具をつけてタンパク質を濾しとっていきます。
タンパク質がなければアンモニアが作られないので硝化バクテリアを育てるための濾過フィルターは必要なくなります。
海水魚と違いサンゴなどが排出するアンモニアの量は少ないので可能になります。
サンゴ、小生物などが作り出したアンモニアはライブロック、ライブサンドの中で育った硝化バクテリア、
脱窒バクテリアが消していく濾過方式です。
海水魚飼育でこの方式を使おうとしても海水魚の出す糞や食べ残しが多いためプロテインスキマーだけで取り除けるタンパク質量以上となってしまいます。
プロテインスキマーだけで海水魚飼育を続けていくのは難しいといえます。
(ほかの濾過方式とこの方式を併用するのは効果が大きいです) また、プロテインスキマーでは海水魚自身が排泄するアンモニアは取り除けません。
濾過フィルター(硝化バクテリア育成装置)ではないので海水魚の飼育には従来型フィルターが適しています。

DSB式濾過
底砂を厚く敷いただけで底砂の部分で濾過をしていく方法です。
自然の海では特別濾過フィルターがなくても水質が保たれていますがこれは底砂の中に住んでいるベントスやバクテリアが働いて食物連鎖が続いていき水質が保たれているからです。
水槽で同じような食物連鎖を続けさせて水をきれいにしていこうとする方法がDSB式です。
そのためには底砂を厚く敷いて底砂の中に住んでいる生物の種類と数を増やさなくてはなりません。
水槽内でこのような生物を生かし続けるのは難しく定期的に補充して生物たちのバランスを維持していきます。
バランスをうまく維持できなくなったときは一部の種類だけの生物が増えてしまい食物連鎖が狂ってしまうので全滅してしまいます。
DSB式は普通の飼育水槽の底砂を厚く敷いただけなので特別DSB式を謳った製品というものはありません。

モナコ式濾過
モナコ式は底砂を厚く敷くことと最下部にプレナム層という砂のない層を設けることで構成されています。
飼育生物を生かせていくためには水槽内の水は酸素が十分含まれた状態を維持させていく必要があります。
底砂はというと底砂の表面に近いところは酸素が十分な状態になっていますが砂の下のほうになるにしたがい酸素が薄くなっていきます。
表面は水に触れていて新しい水が絶えず流れ込んでくるので酸素は豊富です。
砂の奥は砂の中に住んでいる生物たちが呼吸しているため酸素が使われていくのに対し、水は奥まで循環していかないので酸素のない状態が作られていきます。
最下部のプレナム層に至っては酸素が全くない状態が作られその状態が維持されていきます。
酸素が豊富な砂の表面から酸素がまったくない砂の最下部までだんだん酸素が少なくなっていく環境が作られます。
モナコ式の環境が作られた水槽では酸素の豊富な表面では硝化菌が繁殖し生物にとって危険なアンモニアをつぎつぎ硝酸塩に変化させていきます。
危険なアンモニアは減っていきますが水槽内には硝酸塩が溜まっていきます。
一方酸素が少ない最下部の環境では硝酸塩の酸素を取り入れて呼吸できる嫌気性バクテリア(脱窒菌)が増えていくことができ、その働きで硝酸塩はつぎつぎ窒素に変えられていきます。
水槽に溜まっていく硝酸塩は時間と共に窒素に変えられてしまうので硝酸塩が水槽内に増えていかないことになります。
硝酸塩が増えていかないので水替えの回数を減らすことができます。
このようにして水質の安定を図った濾過方式がモナコ式です。
モナコ式はモナコ王立海洋博物館が発明した水族館の濾過方式です。
特許を取っているためこの方式を使った製品というものは販売されていません。
アクアリストでこの方式を使っている場合は全てDIYで自作したものです。

サンゴ飼育向きの濾過

最近はそのほかにエコシステム、ゼオビットシステム、バクテリオプランクトンシステム、トリトンメソッドといった方式も開発されています。
エコシステム
ゼオビットシステム
上級者のzeovit mjnekoさんがサ
ンゴ飼育の詳しい解説動画を公開
していますので紹介します。
専門的な装備の種類や取り扱い方
法、最新システムの操作指導など
盛りだくさんのテクニックを紹介しています。
魚飼育ではここまで専門知識を駆
使しなくてはならないということ
はありませんが上級者のレベルの
高さがよくわかると思います。
【ゆっくり解説】サンゴ水槽 システム紹介動画 Part1更新版
バクテリオプランクトンシステム
トリトンメソッド
Showtank Korallenzucht.de - August 2016 - 3Jears and 9 Month.
サンゴの飼育
サンゴをうまく育てるには濾過も必要ですが微量元素のバランス調整が重要となります。特にハードコーラルはカルシウム、マグネシウム、ストロンチウムほか各種微量元素の消費が大きく狭い水槽内では直ぐに不足してしまうので添加剤を使って調整していく事になります。 特にカルシウムは骨格の材料で多量に必要とするため粉末の水酸化カルシウムを薬局から買ってきてRO水で溶かしその上澄み液を点滴する(カルクワッサー)方法もあります。 更に良い状態を望むのであればカルシウムリアクターを設置することになりますが大掛かりになります。

上級者になるとサンゴの飼育をする人が多くなります。
それもハードコーラルを育てることに情熱が向かう傾向にあります。
ミドリイシなどを発色良く成長させるのは難しくテクニックが必要なのでうまく育っていく時の満足度は大きいものです。
より高みを求めようとするとするとカルシウムリアクターが必要となります。カルシウムリアクターは本体の他に炭酸ガスボンベ(多くがミドボンと呼ばれる大きなもの)を必要とするため設置すると一大水槽維持システムを作り上げたような感じになりそれだけで満足を得られるものです。
→ カルシウムリアクター
レッドシーではリーフケアプログラムというサンゴ飼育の解説動画を配信しています。サンゴの飼育にはどんなことが大切なのかが分かるのでサンゴ飼育でいきづまっているときには参考になると思います。





このように管理すればサンゴをうまく飼育していけると解説しています。
→ レッドシー

脱窒とは
硝化バクテリアによる濾過が行われると水槽の中には硝酸塩が溜まっていきます。
海など自然界では硝酸塩は無害なのですが水槽のような狭いところでは害が出る量にまで溜まってしまいます。
そのため増えていく硝酸塩を減らす必要が生じ、その目的のために水替えをしなくてはならないことになります。でも硝酸塩を別の物質(窒素)に変えることができれば硝酸塩は増えていかないことになり安全な状態を続けていくことができます。
硝酸塩を窒素に変えることを脱窒といいこれを行うバクテリアが脱窒バクテリアです。
脱窒バクテリア(脱窒菌)は酸素のある環境では他の多くのバクテリアと同じように酸素を吸って呼吸をしています。
ところが酸素のない環境になると硝酸塩(NO3)の酸素(O)を使って呼吸することができてしまいます。
硝酸塩の酸素を吸った後は使わなかった窒素(N)を吐き出しているため 硝酸塩を窒素に変えていることになります。
このバクテリアを水槽の中で育てられれば水槽の中に硝酸塩が増えていかないことになり、水替えを頻繁にする必要がなくなります。
水槽で生物を飼育するということは化学的には次のような変化が起こっているということです。
生物が生命活動をすると食べ物が分解されアンモニアが作られます。

このようにできれば水槽の水替えは少なくすることができます。
脱窒バクテリアは自然界の海では海底の砂の4〜5cm位の深さに生息しているバクテリアですがライブロックの表面などにも生息しています。
ライブロックの表面、水槽のガラス面などにはいろいろなバクテリアが棲み着いています。バクテリアはEPSと呼ばれる物質を出していて、各バクテリアから出されたEPSは混ざり合って、その中でバクテリア達が共同生活している形になっています。
EPSはライブロックなどの表面に張り付いたような状態になっていてこれをバイオフィルムと呼んでいます。バイオフィルムは水と接しているので水から酸素を得てバクテリアたちは活動しています。硝化菌もアンモニアを食べて硝酸塩の糞を出しながら生きています。あるバクテリアの糞は他のバクテリアの餌となったりしてバイオフィルムの中ではいろいろなバクテリアが生活しています。いろいろなバクテリアの中に脱窒菌というバクテリアがいます。このバクテリアは糖分を食べて二酸化炭素を排出して生きている生物ですが、普通水槽の中には餌となる糖はあまりないのでほとんど活動していません。水槽に糖の餌を入れると活動しだしますが酸素が得られる環境下では特別変わった状況にはなりません。ところがライブロック表面のようなところではなく、酸素があまり届かない底砂の奥の方(嫌気環境)だと変わった働きをします。多くのバクテリアが酸素のない状態では息ができないため活動出来ないのに対し、このバクテリアは
硝酸塩(NO3)の酸素部分(O)を使って呼吸する技を持っているため無酸素の環境でも活動することが出来ます。このバクテリアに活動してもらえば硝酸塩が消費されてなくなっていくので硝酸塩を消していけることになります。このように嫌気性バクテリアである脱窒菌に活動してもらうことによって硝酸塩を窒素に変えていく作用を脱窒といいます。普通の水槽内でも底砂の中やライブロックの奥で脱窒が行われていますが、水槽内で海水魚が作る硝酸塩の量に対してはわずかな量しか脱窒することはできていません。
積極的に脱窒作用をさせるのがモナコ式濾過でこのほかに硝酸塩リアクターを設けて脱窒させる方法もあります。

脱窒菌活性剤による方法
現在は酸素のある環境内で脱窒バクテリア類を活性化させる添加剤が開発されていて特別な無酸素環境を作らなくても脱窒が行われています。 AZ-NO3などを添加し続けていけば夢のコケなし水槽を維持していけますので利用していくと良いと思います。
