海水魚はどのようにすれば飼育していけるのでしょうか
1. 海水魚を飼い始めると次々死んでいくのは何故?
海水魚飼育の第一関門は水づくりです
水槽、濾過フィルター、照明、温度計、
餌、ハイポ、人工海水、比重計、底砂、
アクセサリー類など基本となるものを揃えればすぐ海水魚を飼えるかというとそうではありません。
もし気にいった海水魚を飼育し始めたとしたらその海水魚は必ず2〜3週間以内に全部死んでしまいます。
その原因は水中に増えていくアンモニアのせいです。
淡水魚に比べて海水魚のアンモニア排出量は何倍も多く直ぐに水槽の水は悪化していきます。
アンモニアは海水魚が排泄するほか 糞(タンパク質)や食べ残しの餌(タンパク質)などからも作られます。
水中にはタンパク質を分解するバクテリア(タンパク質を食べてアンモニアの糞をする細菌)が棲んでいてこのバクテリアによって水中にあるタンパク質は次々アンモニアに変えられていきます。
アンモニアは生物が生命活動をした結果当たり前にできてしまうものなので海水魚自身も排泄しています。
食べ物 + 酸素 ⇒ エネルギー + アンモニア + 水
陸上の動物はアンモニアの害を消すためアンモニアを尿に変えて排泄しているのに対し海水魚はエラからアンモニアを直接排泄しています。
アンモニアが有害な物質だとしても陸上の生物はアンモニアに触れることがないので心配ありません。
ところが絶えず水と接触している水槽内の生き物にとっては生命に係る問題となります。
自然界の海では海水魚の排泄や糞などによって作られていくアンモニアは大量な海の水によって瞬時に害にならないレベルまで薄められてしまいます。
その後アンモニアは海に棲んでいるバクテリアの食べ物となって分解され硝酸塩になります。
その硝酸塩は植物プランクトンの食べ物になってプランクトンの体に作り替えられていきます。
すなわち自然界ではアンモニアが無くなっていく仕組みになっています。
ところが水槽という狭い入れ物の中では条件が違います。
アンモニアはしばらくすると水槽内の生物が生きていけない濃さになってしまいます。
アンモニアは水に溶けやすい性質を持っているので実際には水と出会うとアンモニウムイオンという形に変わります。
アンモニウムイオンはアンモニアと違って生物に害を及ぼしません。
そのため水槽内でアンモニアが発生したとしても直ぐに海水魚が死ぬことはなくしばらくは生きていけます。
ところがアンモニアがアンモニウムイオンに変化できる量には限界があます。
水中にアンモニアが増えすぎると全部がアンモニウムイオンに変わることができません。
狭い水槽内ではやがてこの量に達し水槽内にアンモニアが存在する状態が起きてしまいます。
こうなると生物は生きていくことができないので死んでいきます。
これが2〜3週間以内に海水魚が全部死んでしまう理由です。
水槽の大きさが小さいほど、飼育している魚の数が多いほど、飼育している魚が大きいほどこの時期は早くやってきます。
2. 海水魚を死なせない方法
毎日の水替え
海水魚を死なせない方法はアンモニウムイオンの量が一杯になる前に水槽の水を全部捨てて新しい水に入れ替えることです。
毎日かせいぜい2〜3日置きぐらいに水を全部入れ替え続けていくことです。
この作業を続けていけば発生したアンモニアは全部がアンモニウムイオンに変わってくれているので心配なく飼育し続けていけます。
この作業を続ければいいのですが1〜3日毎に古い海水を全部捨て60L以上の海水を作って新しい水に交換し続けていくのはかなり大変です。
あまりやり続けられる人はいません。
水を新しいものと入れ替えていくことは水槽内のpHを中性に戻していく意味もあります。
新しい水のpHは中性です(海水の場合は中性より少し高く微アルカリ性ですが‥‥)。
生物というのはpHが中性のときに正常な生命活動を営めるようにできています(ただし、海水生物は微アルカリ性:pH8.2の海水中で生きていく必要があるためこれに適応しています)。
生物は酸素を吸って炭酸ガスを吐き出すという呼吸作用をして生きています。
水槽内に生物(海水魚などのほか硝化バクテリアや病原菌、コケなども生物)がいれば吐出された炭酸が増えていきpHは中性から酸性に変わっていきます。
中性の新しい水はだんだん酸性になり時間が経過するとともに酸性度は高まっていきます。
酸性度が高まった環境ではどの生物も生きていくことはできません。
ただし、徐々に中性から酸性に変わっていく場合はそのpHに順応して多少酸性気味の環境になったとしても生きていくことができます。
ところが中性の状態から急に酸性の状態に変わると体が対応できずけいれんを起こし死んでしまいます。
逆に酸性に耐えていた状態から急に中性の状態に戻らされても同じように死んでしまいます。
死ぬまでのダメージではなかったとしてもストレスで免疫力が落ち病気にかかりやすい状態になってしまいます。
この状態になることをペーハーショックを起こすといいます。
新しく入れた水は生物がいれば1日、2日と経つうちだんだん酸性度が高まっていき数日経過するとかなり酸性の水になっています。
その水を全部新しい水に交換すると海水魚はペーハーショックを起こして死んでしまうことになります。
ペーハーショックを防ぐためにも水の交換は1〜3日以内毎に行わなくてはならなかったのです。
新しい海水に変え続けていくのは大変ですが別法があります。水槽内に硝化バクテリアというバクテリアを育てることができればアンモニア(アンモニウム)を硝酸塩という酸に変えることができるのです。
硝酸塩はアンモニアのように生物にとって有害な物質ではありません。
だから 硝化バクテリアが育ってくれると水を捨てなくてもアンモニアをなくすことができるのです。
そのため普通は濾過器(濾過フィルター)をつけて硝化バクテリアを育てる方法で水替えの間隔を伸ばす方法をとっています。
ろ過器をつけるとアンモニアが水中に増えていくスピードを遅らせることができ、更にはほとんどアンモニアが増えていかないレベルにまでもっていけます。
こうなればアンモニアを心配することなく海水魚の飼育を続けていけます。
この状態が作れて初めて自然界と違う水槽という環境で海水魚を飼育していけるようになるのです。
ただし害のない硝酸塩であっても狭い水槽の中では有害となってしまう量にまでたまってしまいます。
そのため1週間〜1か月毎には水を交換していく必要は出てしまいます。
小さな水槽ほど交換時期は早く、大きな水槽ほど長い期間交換時期を延ばすことができます。
そしてペーハーショックを避けるために全部の水を交換することはせず全体の1/3〜1/5だけの部分交換をしていきます。
3. 濾過器を使って海水魚を飼う方法
淡水の熱帯魚飼育でも濾過フィルターを使っていますが濾過フィルターの目的はなんでしょうか。
海水魚の糞やゴミで汚れた水を透き通ったきれいな水にすることと誤解している人も多いものです。
答えは水の中にある有害なアンモニアを硝酸塩という無害な物質に変化させる目的です。
水槽内のアンモニアは水中にいる生物の生命活動の結果日数が経つほど水槽内に溜まっていきます。
そのうち海水魚が死ぬほどの量に達してしまいます。
濾過フィルターはこのアンモニアを無害な硝酸塩に変えていく装置です。
アンモニアが発生しても直ぐに硝酸塩に変わってくれれば海水魚は危険なく狭い水槽内でも生きていけます。
ではなぜ濾過フィルターはアンモニアを硝酸塩に変えることができるのでしょうか。
濾過フィルターは硝化バクテリアという細菌を使ってアンモニアを硝酸塩に変化させています。
硝化バクテリアとはアンモニアを食べて硝酸塩の糞をして生きている生物です。
硝化バクテリアがたくさん増えるとたくさんのアンモニアが食べられてなくなっていきたくさんの硝酸塩という糞が出されていきます。
海水魚が作り出すアンモニアが増えていくスピードとたくさんの硝化バクテリアがアンモニアを食べていくスピードが一致すれば水の中にアンモニアはまったく存在しないことになります。
言ってみれば濾過フィルターは硝化バクテリアを増やしてアンモニアを消していく装置なのです。
硝化バクテリアはいつでも水の中にいるわけではなく濾過フィルターの中にいるわけでもありません。
水の中にごくわずか含まれていて餌を得られないときは休眠状態になっています。
水槽で海水魚を飼育すると海水魚が排泄したり糞などからアンモニアという餌が作られます。
アンモニアができた時点から餌を食べて濾過フィルターの中で増えていきます。
硝化バクテリアが増えていくスピードはあまり早くなく淡水に住む硝化バクテリアの場合1か月程度、海水にいる種類では3か月程度かかってやっと魚飼育に必要なまでの数になります。
淡水の場合は初めて魚を入れて1週間も経つとある程度硝化バクテリアが増えてくるので魚がそこまで耐えてくれれば死なずに済むことが多くなります。
海水の場合は半月過ぎても硝化バクテリアはほとんど増えていません。
そのためこの位の期間が過ぎると海水魚はアンモニアの害で死んでいきます。
それでも危険な時期を乗り越えられた海水魚はだんだん心配のない状態になっていきます。
そのうち作られるアンモニアは全て硝酸塩に変えられてしまうようになり長期飼育できる環境が出来上がります。
でもアンモニアや硝酸塩は目に見えるわけではないので水が出来上がっているのかまだなのか見ていてもわかりません。
水が出来上がっていないうちに海水魚を追加してしまうと全滅してしまいます。
水質検査試薬やテスターを使うと水の状態を知ることができるので水が出来上がって海水魚を追加できる段階なのか判断をすることができます。
正確にその時期を知りたいときはこれらの計器類を使う必要がありますが水が出来上がっていく流れを知っていればその時期を判断することはできます。
実際に水が出来上がっていく経過は次のような流れになります。
4. 水を作る方法(水槽の立ち上げ方法)
水槽立ち上げ時の流れは次のようになります
濾過フィルターをセットした水槽に海水を入れる。
↓
アンモニアを作るバクテリアの餌となるものを入れる。
(魚の切り身、アサリのむき身、
テストフィッシュなど)
↓
バクテリアの素を入れる。
(バクテリアを入れないときはテストフィッシュは死ぬのを覚悟)
↓
水を循環させてバクテリアにアンモニアを発生させてもらう。
(空気を送ってバクテリアの活動を活発にします)
↓
アンモニアが発生してくると水が白く濁ってくる。
(アンモニアの増加と共にリン酸も増えていく)
↓
水槽からアンモニアの腐敗臭がしてくる。
(アンモニア
試薬
があれば数値が上がっていくのが解ります)
↓
アンモニアが増えると
ニトロソモナスが増えて亜硝酸を作る。
(アンモニア試薬があれば数値が下がっていくのが分かります)
(亜硝酸試薬があれば数値が上がっていくのが分かります)
↓
脱窒菌が増えていく。
(脱窒菌が二酸化炭素
を発生させて水槽内に泡ができてくる)
↓
2〜3週間頃、亜硝酸が最大になり海水魚に最も危険な状態になる。
(テストフィッシュがいれば弱い順に死んでいく)
↓
亜硝酸が増えると亜硝酸を食べる
ニトロバクターが増え、
亜硝酸を硝酸塩に変えていく。
(亜硝酸試薬があれば数値が下がっていくのが解ります)
(硝酸塩試薬があれば数値が上がっていくのが解ります)
↓
硝酸塩と燐酸塩が増えるので
コケが発生する。
↓
一カ月経過後頃に追加のテストフィッシュを飼える状態に
なります。この頃が一応の水の出来上がりとなります。
(生き続けるのが前提のテストフィッシュを入れられます)
↓
硝酸塩が増えると硝酸塩を亜硝酸に変えるバクテリアが増えだし
逆に亜硝酸を増やしていく。
(亜硝酸試薬があれば数値が上がっていくのが解ります。)
(pHはだんだん下がっていき海水魚に危険な状態になります)
↓
この時期で水の部分交換をする必要があります。
(水の交換で亜硝酸は下がり、pHは上がります)
(水の交換時期に気が付かないでいるとテストフィッシュが死にます)
その後定期的に1/3程度の水を交換していきテストフィッシュの様子を見ながら海水魚を増やしていきます。
テストフィッシュが元気に泳いでいるようなら本来飼育しようとしていた海水魚を入れられる状態に近づいてきています。
8割方水が出来上がっているので定期的に水交換していけば長期飼育できることになります。
いったん水が出来上がってしまえば水槽立ち上げ期のような海水魚が死んでしまうようなことは起こりません。
原則硝酸塩が増えたら水を交換するだけになります。
現在はバクテリアの素が売られているのでこれを使えば3か月待たなくても水は早く出来上がります。
バクテリアの素はいろいろな種類があってメーカーごとに違っています。
バクテリアというのは1種類ではなく硝化菌といっても少しずつ違ったものが10数種類います。
メーカーはその中からこれはといったものを培養して「うちの細菌が一番優れているよ」といって販売しています。
あるメーカーのバクテリアを水槽に入れたときそのバクテリアの好む環境だとどんどん増えていきます。
そのバクテリアが好まない環境だと増えることができず他のバクテリアが増えていきます。
最初はメーカーの硝化菌が硝化活動を担いますがその内その水槽に適した硝化菌が増えて硝化活動を担うようになります。
テストフィッシュは丈夫な海水魚を選びます。コバルトスズメ、シリキルリスズメ、デバスズメ、カクレクマノミなどが候補となります。
でもデバスズメ以外は水槽が立ち上がった後追加する海水魚と喧嘩しだす事が多いので選ばないほうが良いでしょう。
海水魚が喧嘩をすると突かれて傷がつきそこに細菌が繁殖して病気が発生します。
病気が発生すると水質が悪化し水槽全体に病気が蔓延してしまいます。
テストフィッシュは丈夫なだけでなくおとなしく他の魚と喧嘩しない海水魚を選ぶのが良いと思います。
水槽の中に海水魚(テストフィッシュ)を入れたとき最初に増えていくバクテリアは物を腐らせてアンモニアを作り出すバチルス菌などです。
このバクテリアは増えるのが速いので直ぐにアンモニアが作り出されます。
植物や動物など(有機物)は腐るとアンモニアに変化します。
それはこのバクテリアが有機物を餌として食べて糞としてアンモニアを排泄していることです。
アンモニアが増えていくと今度はこれを餌にしているニトロソモナスという硝化バクテリアがゆっくり増加して亜硝酸という糞をだします。
同時に糖類(炭水化物)を食べる脱窒菌というバクテリアがニトロソモナスより速いスピードで増えていきます。
また 亜硝酸が増えていくとこれを餌にしているニトロバクターという硝化バクテリアが増えていき硝酸塩の糞を出します。
このニトロソモナスとニトロバクターという硝化バクテリアが十分増えれば海水魚を飼育できる状態が出来上がります。 ただし、硝酸塩も増えすぎると害になります。
そのため定期的に水替えをして硝酸塩の量を減らしていく作業が必要になります。
1か月経過後で海水魚を追加したい場合は様子を見ながら増やしていきます。
3か月後にはろ過装置がちゃんと働いていれば水の状態としては普通に海水魚を飼育できる状態になっているはずなので安心して追加していくことができます。
初めて海水魚飼育する人にとって文章だけの説明だとイメージしにくいところもあると思います。
sweepanさんのブログサイトで「海水水槽をはじめてみた」という動画を配信していました。
どのようなことをしていくのか動画で見ていくと分かりやすいと思います。
やり方や使用機材などは人により違っているものですが水槽を立ち上げていく流れは見ていてよくわかると思います。
→ sweepanさんのブログ
(:3 _ )=ごろろぐ
5. 水槽立ち上げ後の管理
定期的な濾過フィルターのメンテナンス
濾過フィルター内に硝化バクテリアが育ってくれてもいつまでもアンモニアを消してくれる働きをしてくれるわけではありません。
硝化バクテリアは酸素を呼吸して生きている生物なので酸素の十分含まれた水を濾過フィルターに流し続けていかなくてはなりません。
濾過フィルターは酸素を取り込む工夫がされているので最初は気にすることはありません。
でもしばらく使っていくうちに濾材の部分にゴミやデトリタスなどが溜まってだんだん流れが悪くなっていきます。
隙間が詰まって流れない部分が増え水の流れる個所は少なくなっていきます。
このような状態になることをチャネル現象を起こしたといいます。
酸素は水に含まれて運ばれてくるので酸素で息をしている硝化バクテリアは水の流れている個所だけでしか働くことができません。
水の流れが止まっているところの硝化バクテリアは休止状態になっています。
わずかしかバクテリアが働かなければ硝酸塩を作る量が減ってしまいます。
するとアンモニアの発生するスピードにアンモニアを消すスピードが追い付かなくなりアンモニアが水の中に存在する状態になってしまいます。
日数が経つにつれて水槽内のアンモニアが増えていき海水魚は死んでいきます。
そうならないように濾材を洗って流れの良い状態に戻すか新しいものに交換するなどメンテナンスをしていかなくてはなりません。
濾材は水洗いをして詰まりをなくすのですが、濾過をしているのは濾材の表面に張り付いているバクテリアがしてるのですからゴシゴシこすってバクテリアを洗い流すようなことをしてはいけません。
容器に水を入れてその中で濾材を振り洗いするくらいにします。
バクテリアは残しゴミだけを流すようにします。
水は水替えで捨てる海水を使うかカルキ抜きをした水を使います。
水道水で洗うと含まれている塩素のためバクテリアが死んでしまうからです。
濾材を新品に交換する場合は半分だけ交換し残りは次回のメンテナンス時に交換するようにします。また便利商品として バクテリアの力を借りてろ材をきれいにするとうたった
プレクリーンという製品も売られています。
メンテナンスの間隔は水槽の大きさ、濾過フィルターの性能、濾材の種類、飼育生物の種類・大きさ・数などにより異なりますが1週間〜1か月くらいごとに行っていくのが普通です。
濾過フィルターのメンテナンスを続けていってももう一つやらなくてはならないことがあります。
それが定期的な部分水替えです。
フィルターのメンテナンスも水替えも正しくは汚れたら行えば良いものですが汚れ具合を正確に調べるのは難しいものです。
そこでこれくらいの間隔で行っておけば汚れを防げるだろうという期間で定期的に水替えして水質を維持していきます。
定期的な水替えと水の補充
水槽内の生物をいつまでも飼育していくためには、硝化バクテリアの働きによって有害なアンモニアを無害な硝酸塩に変化させていくことで可能になります。
その結果、水槽の中には硝酸塩がどんどん増えていくことになります。
自然界では硝酸塩が増えても海の水量が多いため何の問題もないのですが狭い水槽内では無害の硝酸塩でも害が出てしまう濃度になってしまいます。
私たち人間は何の問題もなく塩や砂糖を食べていますがもしこれを大量に食べたとすると死んでしまいます。
本来毒ではないものでも摂取量が多量になると毒になってしまいます。
自然界では起こらないことも狭い水槽内だと無害な硝酸塩もやがて有害となる量に溜まってしまいます。
そのため増え続けていく硝酸塩を取り除く作業が必要になります。その方法が定期的な水替え(部分換水)です。
飼育環境(飼育生物の種類、大きさ、数、ろ過方式など)によって間隔は異なりますが1週間〜1か月くらいに1回水槽の水を1/3〜1/5程度排水しその分新しい水を足す作業を続けていきます。
全部の水を入れ替えない理由はペーハーショックを防ぐためです。
海水魚飼育に適したpHは自然海のpHと同じ約pH8くらいです。
水中に棲んでいる生物は酸素を吸って炭酸ガスを吐き出して生きています。
その結果水中には炭酸が増えていきさらに硝酸塩も増えていくのでpHは時とともに酸性になっていきます。
アルカリ性に適応している海水魚はpHが下がって酸性になると病気になっていきます。
水替えは酸性に向かっていった水を捨てて中性側に戻す働きもしています。
古い水を新しい水に交換することは水槽内の飼育生物にとってとても良いことでできれば水替えの間隔は短くしたほうが良いです。
底砂を敷いている場合は水替えの時砂の奥に溜まっている汚れを取りながら水を捨てていきます。
この時使うものがプロホースなど砂に差し込んで排水する器具です。
砂の奥の汚れの中には生物にとって有害な硫化水素や病原性細菌類がいるのでこれを放っておくとやがて水中に溶けだし飼育生物が病気になったり死んでしまうということが起こります。
定期的な水替えの他に日々の作業として蒸発した水の補充があります。
淡水魚の飼育ではそれほど重要ではありませんが海水魚の飼育では注意する必要があります。
海水生物は海水の比重によって健康が大きく左右されます。
定期的な水替え時に1.020の比重に調整されたとしても、比重は時間とともに1.021、1.022,1.023、1.024…と増えていきます。
増えていくスピードは部屋の湿度などにより一定ではないので日々チェックし、増えた比重を淡水で下げていくことが必要となります。
淡水の補充は理想的には点滴のように少しづつ補充していくのが良いので自動給水器などで自動化している人もいます。
6. 水槽の設置場所
- 水槽の設置場所は海水魚を眺めている時間が多く取れるリビングなどが適しています。 目に触れている時間が多ければ水槽内の変化に気づきやすく異常に対するアクションが取りやすいからです。
- 人がいつもいるような場所だと冬は暖房、夏はエアコンが効いていることが多く水槽で使うヒーター、クーラーの使用時間が減り電気代が少なくて済みます。
- 海水魚は水槽の中から外の様子を感じています。 人がよく出入りするドアの脇やテレビの横などは避けます。 子どもたちの動き回る様子や話し声笑い声などは魚たちによく聞こえよく見えています。 驚いて一斉に飾り岩などに隠れます。 このとき飾り岩やガラスに体をぶつけて傷つけることがあります。 海水魚はこのような場所だとストレスが溜まり病気になりやすくなります。 このような環境に置かれた水槽は病気が出やすい水槽になってしまいます。
- 水槽を置く場所は直射日光が当たらない位置にします。 直射日光が当たる場所だと真冬であってもクーラーが必要なくらい水温は上昇します。 1日に起こる水温の上昇下降は海水魚の体調にとても悪い影響を与えます。 夏季には海水魚の全滅ということも起こります。 また日光が当たればコケも発生しやすく美観も悪くなります。
- 水槽を置く場所は畳のように人が歩く振動で揺れてしまう場所は避け丈夫な床に設置するようにします。 振動は海水魚にストレスを与え病気になりやすくさせてしまいます。 床の強度も重要で床下の補強が必要な場合もあります。 床部の沈みで水槽が歪み割れることがあります。 できれば水槽台の下にコンパネを敷いて水槽の重量を均一にするようにします。
- 水槽台は専用台を使うのがよいでしょう。 下駄箱の上とか棚の上などに置くと重さで下がり危険な状態になってしまいます。
- 水槽設置後はメンテナンスをしていかなくてはなりません。 壁面にピッタリくっつけて置かず余裕をもたせた位置にするようにします。 ⇒ 各種 水槽台は
- 水槽は度々換水作業をしていかなくてはなりません。 できれば水道が近く排水しやすいところに設置するのが便利です。
- 長い間には水漏れや水をこぼしてしまうこともあるのでそのことも考えた上で設置場所を決める必要があります。
- 海水は漏電を引き起こしやすいものなので電気関係には注意します。 コンセントは必ず床面より高い位置にします。 なるべくタコ足配線にならないようにしメンテナンスのときなどに絶対水をかぶらない場所にすることも大切です。
- 溶存酸素量を増やすためエアレーションしたり水面を波立たせたりすると細かい水滴が飛んでいきます。 この水滴は塩だれの原因にもなりますがコンセント部分に付着すると漏電し火災の原因になってしまうので十分注意します。
水槽は一度設置したら簡単に移動できないので以上のことを十分考えて設置するようにします。
7. 良い水質の維持
海水魚を病気にさせないで長く飼育していくためには安定した水質を維持していく必要があります。
どの生物も自分に適さない環境になるとストレスを感じます。ストレスを感じると免疫力が下がって病気に対抗できない体になってしまいます。
海水魚を長く生かせていくためには水質を海水魚に適した状態に維持していくことが大切なことになります。
良い環境にするには何を注意すればよいかということですが水質悪化の要因はいろいろあります。
これだけを注意していれば大丈夫というほど単純ではなくチェックするものは次のような数々なものがあります。
なぜうまく飼育していけてないのか項目ごとにチェックしていくと何が原因しているのか思いつくかもしれません。
うまくいかない原因は水槽1本1本異なりますので考えてみてください。
水質の状態は海水魚の行動を観察することや試薬、テスター類で
測れるものがありますが測れないものもあるので難しいときもあります。
1. 水温
私達人間は恒温動物なので暑いところにいても寒いところにいても体温は約36度で変わりません。
これに対し 海水魚は変温動物なので周りの温度によって体温が変わります。
人間は暑いところでも寒いところでも同じように行動することができますが変温動物は違います。海水魚は水温が高くなると動きが早くなり水温が低くなると動きが鈍くなります。
この違いがでる理由は酵素の働きが温度によって左右されるためです。生物の動きは酵素が良く働けるか働けないかによってきまります。
生物というのは酵素が働くことによって活動することができます。
酵素は温度が高い状態だとよく働き低いと働かない性質があります。
例えると粉を水に溶くときに熱いお湯で溶くと早く溶かすことができて冷たい水で溶くとなかなか溶かせられないようなものです。
人間はいつも体温が36度でいられるので周囲が暑くても寒くても同じように活動できます。
海水魚は水温が高くなると酵素の動きが活発になり早く泳ぎ回りますが水温が低くなると酵素が働かなくなり動けなくてじっとしている状態になります。
私たちが飼育している海水魚は25℃くらいで酵素が正常に働くので水温はこの温度に維持していくことが必要です。
注意すべきは1日の水温の上下です。自然の海は1日の中で水温はほとんど変化しません。
一方、水槽の中の水温は昼と夜で大きく上下することがあります。
その中にいる海水魚は水温の上下に酵素の働きがついていけず免疫力が下がり病気になってしまいます。
淡水魚なら耐えられる温度変化でも海水魚は耐えられないものです。
同じ海水魚であっても採取された海の水温によって適した水温に違いがあります。
ハワイ沖などに棲んでいる海水魚は25℃より少し低く、日本の近海に棲んでいる海水魚はさらに低い水温に適応しています。
でも私達多くのアクアリストが飼育している海水魚はほとんどが25℃くらいの水温に適応しています。
上級者になるとカリブ海とかハワイ沖のやや低水温の海水魚や海の深いところ(水温が低い)に棲んでいる海水魚を飼育したり、逆に紅海のように
やや水温の高い海で生活している高級な海水魚(高額な海水魚)を飼育する傾向がありますが普通は25℃にしておくのが良いでしょう。
2. 比重
海水は淡水と違って水の中にたくさんのミネラルが混ざっています。
その中で塩化ナトリウムがずば抜けて量が多く塩化ナトリウムの量の多さによって比重が高くなっています。
世界の海はつながっていてそこに塩化ナトリウムほか各種のミネラルが溶けています。
そのため どこの地域の海水でもほとんど違いのない比重になっています。
ただし、川の水が流れ込む河口近くは淡水が混ざりこんでいるので比重は低くなります(この比重が低い水域を特別に汽水域として区別しています)。
地域により多少の違いはありますが海水の比重は1.023だといえます。
生物というのは比重1.0で正常な生活ができるようにできています。
でも淡水魚と違い海水という比重の高いところで生き延びなくてはならなかった海水魚は海水の比重に適応しています。
体の周りの比重が高いと浸透圧が働き体から水分が抜けていきます。
体から水分が抜けていけばどんな生物でも生きていくことはできません。
そのため海水魚は絶えず浸透圧というストレスと闘いながら生きているのです。
水槽で海水魚を飼育するときは自然界の比重より低めにしておくほうがうまくいくので比重は1.020くらいにします。
人工海水(海水の素)を使って海水を作るときはこの比重になるまで海水の素を加えていきます。
比重の値は温度によって違う数値になるので海水は水温25℃の状態で作るようにします。
新しく比重1.020の海水を作っても1日経てば当初より高くなっています。
水槽の海水は蒸発によって水分が減っていきますがミネラルは蒸発しないので時間とともに比重は上がっていきます。
比重を元の1.020 に戻すため減った分真水を補充していく日常作業が必要となります。
水の減る量は一定ではなく季節、湿度、使用器具などによりかなりの違いがあるものです。
一般に比重計と呼ばれているものにはポインタ式とボーメ計という2種類があります。
ポインタ式は海水をすくって針の示す位置で比重を計るものです。
ボーメ計は水に浮かして沈み具合で適正比重かどうかを知るものです。
比重計(ポインタ式)はあまり正確なものではなくメーカーや個々の製品によって多少の誤差があります。
おまけに使っていくうち塩分がこびりついたりして狂っていき1年程度で大きな誤差になってしまうものがほとんどです。
正確に比重を計りたいときは比重計やボーメ計ではなく塩分濃度計を使って測定します。
水槽で海水魚を飼育するときの比重は1.020〜1.025で管理していきます。
サンゴを飼育している場合は1.025あたりの高めに維持し、海水魚だけの飼育では1.023までの低めに維持していったほうがうまくいきます。
3. 塩分濃度
比重を正確に測りたいときは塩分濃度計を使います。
プリズム面に海水を2〜3滴たらして光に向かって測定するペンタイプのものが普通ですがデジタル式のものもあります。
デジタルタイプのものには電極を変えることでpH計、水温計、ORP計、導電率計、TDS計、DO計、塩分濃度計と数種の測定ができるタイプもあります。
比重は水温による水の膨張度合いによって値が変化しますが塩分濃度計は水中の塩分濃度による屈折率の違いを測っているもので温度による違いは発生しません。
塩分濃度計で濃度を測定するときは最初に純水を使ってゼロ校正をしておきます。
この状態にしてから採光パネルに海水を2〜3滴たらして太陽などに向けて覗き穴をのぞくと目盛りに影が写って値を知ることができます。
塩分濃度計によっては塩分濃度値と共に比重値も参考に表示してあるものもあります。
自然界の海水では30〜35‰(パーミル)の値を示しますが水槽の場合は海水魚だけの時は上限30‰くらいの濃度で維持管理していきます。
そのため最初は水分の蒸発のことを考えて28〜29‰にしておくのがよいでしょう。
サンゴなど無脊椎動物の飼育では33〜35‰の濃度にします。パーミル(‰)は1/1000を表す単位なのでppmと呼ぶこともできます。
自然界の海水塩分濃度は平均35‰くらいと言われていますが厳密には海域によって違いがあります。太平洋、インド洋では34‰くらい、大西洋では35‰くらい、紅海や地中海では37〜40‰あります。
日本の周りでも沖縄と北海道とで2‰くらいの違いがあります。
初心者の内は水槽の海水を比重で管理するのが普通ですが上級者になると塩分濃度で管理する人が多くなっていきます。海水を作るとき水温に影響なく正確な濃度の海水を作れますし作るのも簡単です。
例えば30‰の海水を作るときは水1リットル(1000g)に対して30gの海水の素を入れればよいわけで重さを測って正確な濃度の海水を作ることができるからです。
水槽で海水魚を飼育するときの塩分濃度は30〜35‰の間で管理していきます。
サンゴの飼育では高めを維持し、海水魚だけの飼育では上限30‰くらいの低めを意識して管理していきます。
4. pH
本来生物というものはpH7 の状態で健康的に生活できるものです。
ところがpH8近辺の海水中で何万年と生活してきた海の生物はpH8の状態で正常に生活できる体に変わってしまいました。
多くの淡水魚が pH7 からpH6 程度の水中で正常な生活ができるのと違っています。
生物は快適に過ごすことのできるpHが(淡水魚でpH7前後、海水魚でpH8前後)酸性側になってもアルカリ側になってもストレスとなり病気になって死んでしまいます。
海水魚の飼育水を人工海水で作ったときでも自然界の海水を入れたときでも初めはpH8近辺になっています。
初めpH8だった海水もしばらく使っていくとpHは下がっていきます。
徐々に中性になりそして酸性へと変わっていきます。
生物を飼育していると生物の生命活動の結果として飼育水の酸性度は高くなっていきます。
生物は酸素を取り入れて体の中で栄養分を酸化させてエネルギーを得、使い終わった酸素は炭酸ガスに変えられ体外に放出します。
狭い水槽の中では炭酸という酸が増えていくことにより海水は酸性へと向かってしまいます。
多くの海水魚はpHが正常な範囲にあるうちはゆっくり水平方向に泳いでいるものです。
pHが下がっていくと泳ぎの方向に上下方向が加わり酸性度が高まると水中から飛び出すものも出てきます。
この兆候が見えたら水替えをするかpH上昇剤でpHを戻してあげなくてはなりません。
新しい魚を加えたとき、今までの魚は元気に泳いでいるのに新しい魚ばかり死んでいくということがあります。
他の水槽(多分pH8近辺の水質)で育てられてきた新しい魚がpHが酸性に変わってしまった水質に耐えられなかったからです。
水槽のpHは徐々に酸性になっていくのでその水槽で生活している魚は順応して生きていけるのですが別の水槽で生活していた魚を低いpHの水槽に入れるとpHショックを起こしてしまいます。
新しく魚を追加するのは水替えをした直後にするのが良いと思います。
酸性度が高くなると海水魚は病気になり死んでいきますが同じように硝化バクテリアなどの細菌類も死んでいきます。
硝化バクテリアが死んでしまうとアンモニアが分解されなくなり水槽内は海水魚が生きていけない水質となってしまいます。
水替えをすると新しく入れられる水によって酸性になった水はアルカリ側に戻され海水魚が生きていける状態になります。
でも水を見ていてもpHを知ることはできないので今水替えしなくてはならない時期かどうかは分かりません。
pHの低下が分からないまま海水魚を全滅させてしまったということはよくあります。
pHを知るためにはpHテスト紙、pH試薬、pH計などで調べなくてはなりません。
水槽で海水魚飼育するときの適正なpH値は 8.2〜8.4です。
5. 水替えの頻度
水槽の水は時間が経つとだんだん悪化していきます。 水替えが必要なのはアンモニアを消していった結果作られていく硝酸塩を捨てるためです。
でもそれだけではありません。
水質の悪化はこれ以外にもバクテリアや微量元素のバランスが狂っていったり、時間と共にpHが酸性になっていったり、臭い黄ばみの原因物質フェノールが増えていったりしても起こります。
水質の悪化は硝酸塩の増加だけでなくこのようなほかの原因によっても起こり海水魚はストレスを受け病気になっていきます。
換水を行って悪化した状態を回復してくことは
水槽内にいる海水魚やその他の生物を守るためには必要になります。
水替えは毎日できれば理想なのですが水族館のように大きな設備を持ってない個人ではやれない人がほとんどでしょう。
水替えの間隔は延ばせばそれだけ水質は悪化していき海水魚は病気になりやすくなります。
普通は1週間から1か月に1回、全体の水の1/3〜1/5程度を水替えしていきます。
水槽内のpHは日数が経てば経つほど酸性になっていくので全部を新しいpH8.2の海水に変えてしまうとそれまでのpHに順応していた海水魚はペーハーショックを起こしてしまいます。
これを防ぐために全部の水を交換することは避けなければなりません。
脱窒菌を育てて硝酸塩を減らすことに成功し水替えの間隔を伸ばすことができたとしてもpHの問題とか微量元素の問題は解決できていません。試薬、
テスターなどで変化を見守り対処していかなくてはなりません。
例えばpHの低下に対してはバッファー剤で調整するかpH上昇のための水替えをする必要が出てきます。
水替えはできれば1週間毎に1/5の量を交換していくのが良いと思います。
ただし、水替えの間隔は水槽ごとに異なり飼育生物を減らしたり、脱窒菌を育てたり、水質チェックを行って添加剤で調整するなどすれば延ばすことが可能です。
- ニッソー です。
6. 食べ残しの餌
海水魚の餌は全て有機物で作られています。
すなわち海水魚は餌として有機物を得ています。
呼吸からは酸素を得ています。海水魚は有機物を呼吸で得た酸素を使って酵素の働きで酸化させ、生きていくためのエネルギーと自身の体を作っています。
有機物というのは植物が作り出したもので動物は植物を食べることで得られます。
また植物を食べた草食動物を食べることでも得られます。
さらに草食動物を食べた肉食動物を食べても得られます。
人工餌はどれも植物や動物を原料にして作られているので食べ残しが出たということは水中に有機物が混ざった状態が作られたということになります。
有機物は腐敗菌などバクテリアによってアンモニアにされるので残り餌が多ければそれだけたくさんのアンモニアが作られていきます。
アンモニアのある中で生物は生きていくことは出来ません。給餌はできるだけアンモニアを発生させないため食べ残しがでない量にする必要があります。
残った餌がでてしまったときは、すくうなりスポイトで吸い込むなどして取り除くようにします。
一度にたくさんの量を与えてしまうと海水魚が食べ切る前に底に沈んでしまいます。
底に沈んだ餌は海水魚に食べてもらえず残餌となってしまいます。
残餌はどんどんアンモニアに変えられていきます。
食べる速度が遅い海水魚の給餌では少しずつ時間をかけて与えていく必要があります。
フードタイマーの中にはエーハイムオートフィーダーのように1回の餌を2分して60秒あいだをあけて与えることのできるタイプがあります。
食の細い海水魚の場合は食べきれず食べ残しが出やすいので、一回に与える量を少なくし一日数回与えるようにします。
フードタイマーの中には一日に数回の給餌をすることのできるタイプがあります。
海水魚の給餌は基本1日朝夕の2回、1〜2分で食べきる量を与えていきます。
7. 水質の維持管理
水槽の水質はセットした瞬間から刻々と悪化していくものです。 水槽内で生活している生物(海水魚、サンゴ、ベントス、海藻、コケ、 バクテリア…)の生命活動の結果、水中の酸素、餌、各種ミネラルなどは使われて無くなっていきます。 それらは炭酸ガス、硝酸塩、リン酸塩ほか 有害物質などに変えられていき水質の構成は時間とともに変わっていきます。 自然界の海では大量の海水によってそれらは薄められほとんど変化ない状態が保たれています。 一方、限られた環境の水槽内は酸素などはどんどん減っていき代わりに変化して作られたものがどんどん溜まっていきます。 そのため酸素、餌などは補充していく必要があり、微量元素も生物に消費されていくため補充していかなくてはなりません。 しかし微量元素の消費はごく少量のため通常は水替えするだけで間に合ってしまいます。 でも水替えの間隔が長い場合は微量元素が不足状態になることもあります。 特にサンゴ類を飼育したりプロテインスキマーを使用していたりすると消費が激しくなり不足することが多くなります。 このような場合は添加剤で補充していくことになります。 各種の元素が配合されているコンディショナーと呼ばれる添加剤を定期的に補充していくと不足状態にならずに済みます。 飼育環境によりストロンチウム、マグネシウムなど個別に補充していくこともありますが魚だけの飼育ではコンディショナーの使用で十分な場合が普通です。 水替えの間隔を短くしていると水質の変化に神経質にならずに済みますが、できるだけ水替えしないで済まそうとすると水質の測定が必要になり添加剤が必要になります。
- エーハイム
テトラ
日本動物薬品
セラ
コーラルライフ
ケント
QFI
レッドシー
カリブシー
Tropic Marin
アクアシステム
カミハタ
アクアガーデン
アズー
JUN
JUNコーポレーション
Leaf Corporation
松橋研究所
デルフィス
コンティニュアムアクアティクス
ブライトウェル
マーフィード
H&S
アクアテック
API
LSS研究所
マリンテック
アクシズ
SNM
グローテック
プロディビオ
コラレン
Korallen-zucht
SALIFERT
MICROBE-LIFT
デュプラ
シーケム
エコシステム
べっぴん珊瑚
Walt Smith
ウォーターエンジニアリング
acube
A-CUBE Factory
B-Blast
ジクラ
Leaf Corporation
富山環境興研
ADA
キンコウ物産
ソネケミファ
フレックス
ジェックス
シマテック などです。
8. 溶存酸素量
溶存酸素量とは海水に溶け込んでいる酸素の割合のことでDO(Dissolved oxygen )と呼ばれています。
海水にたくさん酸素が溶け込んでいるかあまり溶け込んでいないかを調べたものがDO値です。
海水魚は水中にある酸素を呼吸して生きているので酸素が少ないと死んでしまいます。淡水魚は水中の酸素が少ないとき鼻上げを行って空気中の酸素を取る方法を知っています。
海で生活してきた海水魚は酸素が少なくなることを経験したことがないためその方法を知りません。
そのため酸素が少なくなっても苦しがる様子も見せずに死んでしまいます。
水槽には海水魚以外にたくさんの生物が棲んでいてそれらの生物も呼吸しているので飼育を続けていくためには多くの酸素が必要です。
腐食連鎖の働きをしているベントス類、原生動物類、バクテリア類も酸素を呼吸して生きています。
酸素不足になるとそれらの活動がなくなり水質が悪化してしまいます。
また海水は淡水より酸素を取り込む量が少ないため早く酸素不足が起きてしまいます。
海水魚の飼育をしていくためには淡水魚飼育より酸素供給に注意を払う必要があります。
もし水槽内で海水魚が死んだときは一時にたくさんのアンモニアが発生します。
このとき 酸素がたくさんあればたくさんの硝化バクテリアが働けるためアンモニアはすぐ消され水質の安定ははかれます。
水中に酸素が少ないと硝化バクテリアが増えていけないため アンモニアが水中に増えていき水質は悪化してしまいます。
水槽内にアンモニアが増えたときは中に棲んでいる生物は全部死んでしまいます。
飼育している海水魚やサンゴなどが死ぬのはもちろんですが硝化バクテリアなども全部死んでしまうため水作りは最初からやり直しとなります。
現在の酸素供給のままで水質を維持していけるか別にエアレーションする必要があるかなどの判断をするためにDO値テスターがあります。
水槽内の生物にとって酸素は生きるために絶対必要なものですが水に溶け込める酸素量は少ないものです。
水温25℃のとき炭酸ガスは水1リットル中に1000mg以上取り込ませることができますが、酸素は淡水であっても8mgしか取り込めません。
海水になると更に少なく6.4mg程度になってしまいます。
酸素はこれくらいの量しか水に溶けていないので硝化バクテリアによく働いてもらい海水魚ほか生物に元気に生きてもらうためには6mg/L以上の溶存酸素量が必要となります。
- サトテック
SAGA
マザーツール
HORIBA などです。
9. ORP
水槽内のORPを計ると硝化活動がうまくいっているか少し悪い方向に向かっているのか分ります。
生物の営みは 酸化する⇔還元する を繰り返して行われています。
呼吸しているのは酸化させるために酸素が必要だから行っているのです。
植物は生きていくため酸素を呼吸をして酸化していますが、一方光を使って還元し酸素を作って吐き出しています。
ほとんどの動物は酸素を呼吸していますが、体の中では酸素で栄養分を酸化してエネルギーを作り自身の体を作っています。
エネルギーや自身の体を作り出すとき体の中では酸化したり還元したりを続けて最終的に目的のものを作っています。
水槽内はほとんどが酸素を呼吸している生物なので酸化させる環境でないと生物は生きていけません。
ORPは水質が酸化傾向(酸素を十分に含んでいる状態)にあるのか、逆に還元傾向(酸素が含まれていない状態)にあるのかを示す指標です(還元傾向にあるときは酸素がない状態なのでほとんどの生物が生きていけません)。
単位はmVでプラスのときが酸化傾向、マイナスのときは還元傾向です。
硝化菌はORPが +200mV〜 +400mVのとき活動することができます。
酸素がなくても生きていける脱窒菌は -50mV〜 -200mVのとき脱窒活動することができます。
海水魚を飼育していくときはORP値が +400mVくらいの状態のときが最適な状態です。
酸化傾向はこれほど高い数値である必要はないのですがこの状態は余裕のある状態と言えます。
水槽内で大きな生き物が死んだりしたときは大量のアンモニアが作られてしまいます。
このとき余裕状態だと素早く硝化バクテリアが増えてアンモニアを硝酸塩に変えてくれます。
余裕がない状態だと酸素不足で硝化バクテリアが増えることができずアンモニアの発生速度に追いつかなくなります。
こうなると海水魚は次々死んでいきます。
自然界の海では大量のアンモニアが発生したとしても大量の海水で薄まるので何の心配もないのですが 狭い水槽内では大問題になります。
飼育生物が小さく数が少ないようなときはORPは +300mVと特別高くなくても十分飼育していくことができます。
小さな生物が死んでしまったときのアンモニア発生量は少ないですし、生物の死体は見つけ次第取り除いていくようにすればそれほど高いORPでなくても飼育していけます。
水槽で海水魚を飼育していくとき ORPは +300mV以上を維持していきます。
注意するのは値が下がったときです。
この時は酸素の供給が何らかの原因で減ったか、大きな生物かたくさんの生物が死んだかなど異常事態が発生している可能性があります。
原因を探って対処しORPを安定さるようにします。
10. TDS
Total Dissoleved Solidsを略して
TDSと呼んでいますが水の汚れ具合を調べるときの指標です。
純粋な水は絶縁体なので電気を通しません。
そこに不純物が混じると不純物を通して電気が流れるようになります。
この性質を利用して汚れ具合を調べたものがTDSです。
水に含まれているイオン化した物質の量を測ったものを電気伝導度(別の呼び方で導電率:単位はμs/p)といいます。
この値に 0.66を掛けた値をTDS値としています。
単位は mg/Lですが普通は ppmを使っています。汚れているといってもイオンの値を測定しているのでミネラルが多いかを計っているだけで細菌の量などは計っていません。
害のある水かどうかを調べているわけではありません。
またミネラルの量が多いか少ないかですから海水のようにナトリウム、塩化物、カルシウム、
マグネシウムほかたくさんのミネラルを含んでいる水は非常に高い値になります。
TDS値はどのようなときに使うかというとRO浄水器を通した水がちゃんとミネラルを取り除けているかを調べるときなどに使われます。
普通の水道水は 70ppm程度のTDS値ですがRO浄水器を通すと0〜5ppmくらいに下がります。
TDS値の低いこの水を純水と呼び人工海水は純水で溶くことを前提にミネラル配合して作られています。
RO浄水器は使っていくうちにメンブレンに汚れが溜まっていきイオンを除く力が落ちていきます。
通常TDS値が 35ppmくらいに上がってしまったらメンブレンを交換しなくてはなりません。海水の素を純水(栄養塩や各種のミネラルが除かれた水)で溶いて作ればコケは発生せずかつ海水生物に適した海水が作れます。
ちなみに熱帯魚など淡水飼育のときは最大200ppm以下のTDS値になるよう管理していきますが海水魚飼育の飼育水は普通でも35,000ppmくらいあります。
11. 塩素濃度
海水魚の飼育水を作るときはカルキ抜きという作業をします。
水道水には細菌を殺す目的で塩素(カルキ)やクロラミンが混ぜられています。
この水をそのまま使ってしまうと水槽内の生物はダメージを受けてしまいます( 海水魚は塩素が0.2ppm以上含まれているようだと体表粘膜がただれていきます)。
ハイポを使うか浄水器を使うかして塩素を消して海水を作らなくてはなりません。
飼育水は塩素を除いて作っているので通常は塩素量を測定する必要はありません。
塩素濃度を調べる必要があるのは水道水をRO浄水器で純水にし、純水で海水を作っているときです。
RO浄水器に使われているメンブレンは塩素やクロラミンによって簡単に傷んでしまいます。
そのためメンブレンが傷まないようにRO浄水器は カーボンフィルター → メンブレン の順に水を流して最初のカーボンフィルターで塩素を取り除くようにしています。使っていく内カーボンフィルターの力が弱まってだんだんメンブレンに塩素が流れてしまうようになります。
カーボンフィルターを通した水の残留塩素量が増えてきたらプレフィルター(セディメント+カーボンフィルター)を交換しなくてはなりません。
そのため残留塩素濃度はカーボンフィルター交換時期の大切な指標になります。
各水道局により水道水に含まれている残留塩素量は大きく違っています。
水道局源水の綺麗さによって使用しなければならない塩素やクロラミンの量が違います。
なので使う水道水によってカーボンフィルターの使用期間に大きな違いが出ます。
メンブレンに通す水(プレフィルターから出てくる水)の塩素濃度が 0.2ppmを超えた時にはプレフィルターの交換になります。
12. 有害物質濃度
飼育水の中に有害物質が含まれているときは当然ながら生物は病気になり死んでいきます。
有害物質は水道水や近海の海で汲んだ海水などに含まれていることがあります。
水道水は殺菌されているのでバイ菌類はいませんが鉛など重金属や塩素と化合して作られるトリハロメタンなどは含まれていることがあります。
重金属やトリハロメタンは生物にとってとても危険な物質でこれを摂取していると体内に蓄積して病気になったりガンになったりします。
飼育水はこれらのものが含まれていないものにしなくてはなりません。
海から汲んでくる自然の海水は陸地近くで採取したものは工業廃水などで汚染されていることが多く病原菌などもたくさん含まれています。
水道水を使う場合はRO浄水器を使うことで有害物質はすべて取り除くことができますが海水を使うときは沖合の海水を使わなくてはならないでしょう。
外から入ってくる有害物質は以上のものですが、水槽内でも水が古くなるとだんだん有害物質が発生してきます。
水替えはなるべく頻度を高めてきれいな水で飼育してあげたいものです。
水槽には有害物質の害を抑えるためにアクアセイフプラスのような保護剤を定期的に投入していくことが良いでしょうし、新しく魚を加えるときは保護剤でトリートメントタンクしてから加えるようにすると良いです。
13. 底砂
底砂を敷けば海底と同じような雰囲気が出るので敷いたほうが良いと思います。
でも底砂を敷かなくてはならないかというと必ずしもそうではありません。
ただし、ベントス性の ハゼ類などを飼育するときは魚の給餌行動のために必要となります。
また ベラ類などは砂に潜って寝るのでこのような海水魚を飼育するときも必要となります。
海水魚以外にほとんど何も入れないベアタンクのような飼育方法もあるので底砂がなくても飼育はできますが、水質変化に対する緩衝力を高めるために底砂を敷くことは良いことです。
淡水魚飼育では大磯砂とか五色砂とかカラーサンドなどいろいろな底砂を選べますが海水魚飼育の底砂にはサンゴ砂を使います。
これは淡水魚がやや酸性側の水質に適応しているのに対し海水魚がアルカリ性の水質に適応しているからです。
サンゴ砂は炭酸カルシウムでできていて少しずつ水に溶けてカルシウムと炭酸イオンになります。
炭酸イオンは水質をアルカリ性にしていく働きがあるため水質が酸性になるのを防ぎます。
サンゴ砂以外の底砂にはこのような働きはないので海水魚飼育に適した底砂はサンゴ砂だけとなります。
底砂の厚さはどの程度が良いかというと積極的に脱窒バクテリアに働いてもらい水替えの間隔を伸ばそうとする以外はそれほど厚くしない方が良いと思います。
1〜3p程度にしておけばよいと思います。底砂を厚くすると脱窒は良く行われますが砂の奥で硫化水素が
発生したり病原性の細菌が繁殖したりし水質悪化しやすくなります。
底砂はメーカーによって多少呼び方に違いがありますがパウダー、細目、中目、粗目など大きさに分けられて売られています。
パウダーが最も細かくサンゴ礁を思わせる水景にできるきれいな砂です。
パウダーは主として飾り砂として使われるもので砂の奥に酸素が通りにくく表面から2〜3pの深さから酸欠状態になります。
普通中目くらいの粗さのものが底砂に使われますが粒は大きいほど砂の奥まで酸素が行き渡るので硫化水素などを発生させないためには粒を大きなものにしたほうが良いです。
大きな粒と細かい粒を混ぜると大きな粒の間に細かい粒がつまり結局細かい粒だけと同じになってしまいます。
底砂は深くなるほど粒の大きなものにし表面になるほど細かい砂にするとよいです。
混ざってしまうと逆の状態になってしまうので大きさの違う底砂を使うときは砂の境に細かい粒が通らない網目のネットを敷いて分ける必要があります。
14. 照明時間
水槽には照明を付けるのが普通です。水槽内をきれいに見せるのが主目的です。
でも照明はきれいに見せる以外に飼育生物に生活リズムを与える目的もあります。
地球上のほとんどの生物は何万年と昼と夜のある生活を続けてきました。
昼と夜の生活リズムがないとストレスを感じ病気になりやすくなってしまいます。
体に染みついた一日の約半分が昼で約半分が夜というサイクルです。
夏と冬で昼間の長さは違うので必ず半分である必要はありません。
でも多くの生き物が明るくなったら活動し暗くなったら寝るというリズムが体に染みこまれています。
太陽光の入らない部屋の場合は照明時間を昼夜逆にしてもかまいません。
リズムがあれば体は順応します。
きれいな水槽を長く見ていたいと照明時間を長くすると長い時間鑑賞することはできますが光合成して増えていくコケが発生しやすくなります。
コケに悩まされている人は照明時間を短くすることである程度解決してくれることもあります。
サンゴやイソギンチャク、海藻、海草などを飼育している場合は積極的に照明を取り入れないとうまく飼育していくことはできません。水槽の照明はこれまでは蛍光灯(サンゴの飼育ではメタハラ)を使うことが多かったのですが、
現在ではLED照明を使うことがほとんどです。
そして照明は朝点灯して夕方消灯させなくてはならないので多くの人がプログラムタイマーで決まった時間にON/OFFさせています。
15. 水槽周りの環境
水槽を設置する場所はリビングルームなどが適していると思いますが、設置後にたびたびメンテナンスをしていかなくてはならないことを念頭に場所を決めます。 水槽の周りはなるべく空けておいた方がメンテナンスしやすいので余裕を持たせた置き方をするとよいです。 理想的には水道、流しなど水回りに近く、床がしっかりしていること、水をこぼしても下の階に影響することがない場所、冷暖房エアコンの効いた部屋などが考えられます。 水槽をのせる台はしっかりしたものにしないと重みで台が変形し、水槽に負担がかかって割れを引き起こします。 また台の変形で水槽が傾いたりして危険な状態となるので専用の水槽台を使うことが良いでしょう。 水槽の近くにはできるだけ電気製品は置かないようにします。 海水は特に電気製品に大きな影響を与えます。 コンセント類は水槽から必ず離した位置にし、床面より上にするなどの注意が必要です。 できればテレビ、電子レンジなど電磁波の発生する電気製品とは離れた位置が好ましいです。 海水魚たちは水槽の中から周りの状態を意識しているものです。 周りがにぎやかであったり大きな音がしたりしているのは海水魚たちに聞こえています。 水槽周りで動きがあると海水魚は危険を感じて岩陰に隠れたりします。 これらは海水魚たちにとってストレスなので免疫力が低下して病気になりやすくなります。 水槽にバックシートを張ることは水槽背面からの刺激をなくすことで海水魚を安心させます。 水槽を覗き込むことや水槽に手を入れることはどれも海水魚にとってストレスを与えることになります。 病気予防のためには水槽に近づくのは最小限に抑えたいものです。
16. 飼育生物の組み合わせと数
飼育生物が海水魚だけの場合とサンゴ、イソギンチャク、貝、エビ、
タツノオトシゴ、海藻類なども一緒に飼育する場合があります。
どちらにしても狭い水槽で飼育するときは相性を考えないわけにはいきません。
どちらかが餌にされてしまう心配のある組み合わせは良くありません。またテリトリー意識の高い海水魚の混泳は良くありません。
それと海水魚に対して小さすぎる水槽、水槽に対して多すぎる飼育生物などもよくありません。このような選択をすると個々の生物がストレスを感じた状態になります。ストレスを感じると体内で尿素ホルモンが作られこれが表皮から水中に溶け出し水槽内に広がっていきます。ストレスによる尿素ホルモンは他の生物に伝わり水槽内で病気が流行しだします。
飼育生物を長生きさせるためにはストレスを与えない環境づくりが大切なのです。
水質の悪化に対してサンゴと海水魚では耐えられる能力に差があります。ちょっとした水質悪化に対し、海水魚が比較的耐えられる種類が多いのに対しサンゴ、イソギンチャクなどは弱いものがほとんどです。
海水魚だけでなくサンゴ、イソギンチャクなどと一緒に飼育していくためにはサンゴが耐えうる水質の維持が条件になります。
逆に言えば海水魚だけの飼育ならサンゴ飼育ほど水質に神経をとがらす必要はないということです。
エビは海水魚が大好きな餌の一つなので食べられてしまうことが多いですが弱った海水魚が逆にエビに負けてしまうこともあります。タツノオトシゴなど気の弱い海水魚はほかの海水魚がそばにいるだけでストレスとなってしまうので水槽で他の海水魚と混泳させるのは難しいといえます。
チョウチョウウオなどはサンゴを餌にしている種類があるのでこのような海水魚とサンゴを飼育していればサンゴは全部食べられてしまいます。
また、クマノミ類などは小さなうちは混泳させられても大きくなるとテリトリー意識が芽生え戦いだす種類が多いので大きくなるにつれて分けていかなくてはならなくなります。
テリトリー意識が強い海水魚の混泳では自分の体に似た色、形、大きさ、種類などに対抗意識がでるのでこれらに気を付けます。
ただ、この海水魚同士の混泳は絶対ダメというほどはっきりしたものでもなく個々の海水魚の性格によって違いがあります。神経質なもの、細かいことをあまり気にしないものなどいて一概なものでもありません。
また、何事もなく混泳できていても体調や気分によってどちらかが攻撃しだしたり、攻撃されるようになったりすることもあります。
もし絶えず追いかけられている海水魚が目についたらこの海水魚はその内病気になって死んでしまうので別の水槽に移すしかないでしょう。
底砂のところでうずくまっている海水魚や水槽の上の角でじっとしている海水魚がいたらその環境のままではやがて病気になり死んでいきます。
飼育できる海水魚の数についてはこれといった基準みたいなものはありません。
原則を言うと狭い水槽で育てられるよう改良されてきた熱帯淡水魚と違い、広い海で生きてきた海水魚の場合は90p水槽でコバルトスズメ1匹でも狭いのです。
水槽の大きさ、飼育している海水魚の種類、海水魚の大きさ、組み合わせ、濾過能力などによってかなりの違いが出ますが、よく
60p水槽で小さな海水魚なら5〜6匹、大きな海水魚なら1〜2匹などといわれることが多いので参考になるかもしれません。でも私のようにろ過フィルターを増やしプロテインスキマーを付け殺菌灯を設置して、大小30数匹を数年間飼育している者もいるので環境により相当違いがでるものと思ってください。
17. 海水魚の喧嘩
水槽で飼育されている海水魚は水槽の狭さに対しいつもイライラした状態で生活しています。そのためちょっとしたことでつい喧嘩になってしまいます。海水魚は喧嘩するとストレスを感じます。とくに負けた方のストレスは大きく、ストレスによって免疫力が落ちていきます。
免疫力が下がると病気に対する抵抗力がなくなり病気になりやすくなってしまいます。
喧嘩すると相手から突っつかれたり逃げ回っているときどこかにぶつけたりして小さな傷ができるものです。
水槽の中にはいつでもいろいろな細菌が棲んでいて傷口があるとそこで繁殖しだします。細菌に繁殖された海水魚は病気になっていきます。
一匹の海水魚が病気になるとそこで増えた細菌がほかの海水魚にも伝染していきます。
なので混泳で長く飼育を続けていくためには、喧嘩する海水魚を同一の水槽で飼わないようにする必要があります。
海水魚を買うときには混泳できるものかできないものか注意して選ぶようにし、飼育後もし喧嘩するようになってしまったときは片方を別の水槽またはプラケースや隔離ケースなどに移すことが必要です。
海水魚の場合メイン水槽一つだけで飼育を続けていくのは難しいです。何かあった時のために予備の水槽を用意して飼育していくのが普通です。
これは水槽という狭い水域で混泳させようとするための宿命です。一度喧嘩をしたら絶対喧嘩をし続けるかというとそうでもなく隔離ケースなどに入れて様子を見ていく内うまくいく場合も結構あります。
隔離ケースを使うのではなく水槽の中をセパレーターで仕切ることもでき、セパレーターを使うことによって混泳させることができない海水魚を一つの水槽内で飼育していくこともできます。
18. 海水魚の食欲の異常
生物というのは健康なときは食欲がでて病気になると食欲がなくなるものです。
たまたまそうなったのではなく生き延びていくためにそうできているのです。
元気なときはたくさんのエネルギーを使ってたくさんの活動をするためたくさんの食べ物を必要とします。
そのため食物を求めようとする食欲がわくようにできています。
一方病気になったときは放っておけば死んでしまうので活動をすることよりまず病気を治すことが先決になります。
食べ物どころではないのです。そのため食欲がわかないようになっているのです。
生物の活動は体の中の酵素が行っていますが元気なときは多くの酵素が消化酵素となって食欲が出るようになっています。
消化酵素はたくさんの食物を分解してエネルギーの素(ATP)をせっせと作り出します。
そのおかげで活発に活動することができます。
一方病気になってしまったときは酵素はエネルギーを作る消化酵素ではなく免疫力となる代謝酵素の方が多く作られます。
今まで消化酵素だったものは代謝酵素に変えられていきます。
全力で病気と闘ってまず病気を治して死ぬ心配をなくしてから食べ物を求めるようになっているのです。
消化酵素が増えると食欲がわき減ると食欲がわかないことは生物が生き延びていくための大切な仕組みなのです。
毎日の餌やりのとき個々の海水魚の食べ方を覚えておくと、餌をあげてもあまり積極的でない様子が見えたときは何か病気にかかっているのではないかと知ることができます。
餌を食べないでいればそのうち餓死するでしょうし、体が弱っていくので他の魚にいじめられるようになり病気が重くなって死んでいきます。
食欲のなくなった海水魚は混泳を続けていくことはできないので別の容器にに移すなりして元気になるまで病気を治したり養生したりしなくてはなりません。
19. 生物の死骸の処理
水槽内では飼育生物のほか特に飼育しているつもりのない生物もいろいろな原因で死んでいきます。
バクテリアや原生動物など目に見えないものも絶えず死んでいます。
ベントス類など底砂やライブロックなどで生活している生物は日頃から見ることがないので死んでいても気付きませんが実は目に触れないところでたくさんの数が絶えず死んでいます。
どんな生物も死ねば体を構成しているタンパク質は腐敗菌に分解されてアンモニアに変わっていきます。
生物が死ぬということは大量のアンモニアが発生することになるのですが自然界の海は広いので何の問題もありません。でも狭い水槽内ではその都度危機状態になります。
硝化バクテリアが十分育っていればアンモニアは直ぐに硝酸塩にされ危機は回避できますが、海水魚のような大きな生物が死ぬと硝化バクテリアの分解が間に合わなくなります。
このような状態になると水槽から異臭が発生します。
硝化バクテリアが十分育っているときは一時的に異臭が出てもやがてアンモニアは分解され元の水質に戻ることができます。
でもしばらくは水質の悪化状態が続くため海水魚たちにストレスを与え病気になりやすい状態が続きます。
大きな生物ほどタンパク質の量が多いので死んだ時には水質の悪化は大きくなります。
目に見える死骸は見つけ次第水槽から取り出すようにします。
また、時には水槽内の酸素が何らかの原因で一時的に不足することもあります。
このようなことが起きると硝化バクテリアなどが大量死して硝化活動が行われなくなってしまいます。チャネル現象を起こしているろ過フィルターでは硝化バクテリアが増えていくことが出来ません。
硝化活動が行われなければ水槽内はアンモニアがある危険な水質になります。日頃からアンモニア吸着剤を用意しておけば不測の事態で
硝化活動が間に合わなくなってしまったときの急場をしのぐことができます。
水質は目で見ても判らないものなので絶えず注意をしていないと全滅ということが起きてしまいます。
→ アンモニア濃度
20. 濾過方式の選択
水槽で海水魚を飼育する時は飼育する魚の大きさ、数などによって適した濾過方式を選びます。
海水魚が大きいほど、数が多いほど濾過能力の高い濾過フィルターが必要になります。
小さな水槽で使われているフィルターは投げ込み式フィルター、外掛けフィルターなどになります。
濾過フィルターが小型なので小さな水槽で使っても圧迫感を感じず手軽に扱えるタイプで価格も安くなっています。
60p規格水槽では上部フィルター、外掛けフィルター、外部フィルター、
底面フィルター、流動フィルター、オーバーフロー式フィルターなど多くの
フィルターを選べます。
60p水槽は淡水魚の飼育で普通に使われているスタンダードなものですが、海水魚を飼育するためにはこの大きさ以上が適しているといえる大きさです。
ただし、底面フィルターはメンテナンス性が悪く海水魚飼育には適していません。
流動フィルターは濾過効率が高くメンテナンス性も優れたフィルターです。
海水魚飼育で特に適しているフィルターはオーバーフロー式フィルターになります。
オーバーフロー式フィルターは大型水槽にも対応できる一番濾過能力の高いフィルターです。
→ 濾過方法の種類
海水魚と違って水を汚すことが少ないサンゴの飼育では濾過能力としては高くないベルリンシステム、DSBシステム、 モナコシステムといった濾過方式も選べます。 そのほか新しい濾過方式としてはエコシステム、ゼオビットシステム、バクテリオプランクトンシステム、 トリトンメソッドなどがあります。
21. 濾過能力
海水魚は淡水魚と比べ水質悪化に弱い種類が多いため濾過能力の高いフィルターを選ぶ必要があります。
また海水は淡水と比べて水質が悪化しやすいのでこの面でも濾過能力の高いフィルターを選ぶ必要性があります。
濾過能力が高いフィルターとはフィルター内で硝化バクテリアが良く働いてくれる構造のもので使われる濾材の種類も大きくかかわっています。
硝化バクテリアは物体の表面で増殖していくバクテリアで表面積の広い濾材ほどたくさん増えることができ能力は高まります。
また硝化バクテリアが活動するには酸素が必要で酸素が不足すると硝化バクテリアは活動を休止してしまいます。
酸素は水によって運ばれていますが濾材は使っていく内ゴミなどが詰まって水が流れない個所ができ濾過されない部分がだんだん増えていきます。ゴミなどが詰まって当初の状態と比べて極端に流れの悪くなった状態をチャネル現象を起こしたといいます。詰まったゴミはメンテナンスして取り除くとまた水の流れは良くなり十分に酸素が運ばれ濾過能力は回復します。
良い濾過フィルターとはゴミなどが直ぐに詰まらないフィルターであり、ゴミなどが詰まりにくい濾材を使ったものということになります。
ゴミなどが詰まって流れが悪くなっても洗い流してメンテナンスすれば濾過能力は回復するので、メンテナンスしやすいフィルターでかつメンテナンスしやすい濾材がが使われていることが良い濾過フィルターになります。
→ 濾材について
22. アンモニア濃度
アンモニアは生物の体がバクテリアによって分解されて作られたものです。
生物の体というのはタンパク質で作られています。
このタンパク質が分解されるとアンモニアになり更に分解されて亜硝酸になり硝酸へと変化していきます。
硝酸は植物に摂取されてまたタンパク質に作り替えられます。これを動物が食べます。そして動植物の死体をバクテリアが分解します。このサイクルによって自然は成り立っています。
水槽を立ち上げたばかりのときは水槽内にアンモニアはありません。
ここにテストフィッシュを入れると海水魚がアンモニアを排泄します。
糞をしたり餌(生物を加工して作られています)を与えたりテストフィッシュが死んだりするとバクテリアがアンモニアを作り出します。
アンモニアは有機物が分解されていく途中の姿でこの状態のときは生物にとって有害です。
水槽内で海水魚が生きていくには有機物(タンパク質)の分解を
有機物→アンモニア→亜硝酸→硝酸塩
まで進めなくてはなりません。
水槽内でアンモニアが発生するとこれを餌にしているニトロソモナスというバクテリアとニトロバクターという硝化バクテリアがそれぞれ亜硝酸、硝酸塩に変えます。
ニトロソモナス、ニトロバクターのいない水槽ではアンモニアは減っていかないので海水魚を飼っていくことはできません。
水槽内のアンモニアの量を調べれば海水魚を飼育できる状態にあるのか海水魚を死なせてしまう状態にあるのか解ります。
硝化バクテリアがいない水槽で海水魚を飼育していくには毎日新しい海水に取り替えていくかアンモニア吸着剤を使ってアンモニアをなくしていかなければなりません。
海水魚飼育の水槽ではアンモニア濃度は 0mg/Lに維持していくことが必要ですが悪くても 0.05mg/L以下に保たなくてはなりません。
試薬やテスターが売られていますのでアンモニアの量を調べることができます。
23. 亜硝酸濃度
アンモニアが亜硝酸に変わってくれても海水魚が生きていける状態にはなりません。 亜硝酸もアンモニアほどではありませんが生物にとって害となる物質です。 生物が生きていくためには亜硝酸を餌にしているニトロバクターという硝化バクテリアを育てなくてはなりません。 バクテリアは餌があると増えていくことができるので実際にはニトロソモナス(アンモニアを餌にして食べ、亜硝酸というフンをする)が増えると同時に亜硝酸を餌にしているニトロバクターも増えていきます。 この2種類の硝化バクテリアが十分に増えた状態では水槽内でアンモニアが発生すると直ちに亜硝酸に変えられ、作られた亜硝酸は直ちに硝酸塩に変えられてしまいます。 そのため硝化バクテリアが十分育った水槽ではアンモニア・亜硝酸の害は発生しないことになります。 水が出来上がった(ニトロソモナスとニトロバクターが育った)水槽ではアンモニアと亜硝酸の両方を調べる必要はなく亜硝酸を調べるだけで水質の悪化傾向が分かります。 海水魚を飼育し続けていくには亜硝酸濃度を 0mg/Lにしますが悪くても 0.8mg/L以下にしておかなくてはなりません。
24. 硝酸濃度
水槽内という食物連鎖が行われていない環境でも硝化バクテリアが育つと海水魚を飼育していくことが可能になります。
海水魚にとって危険なアンモニアは安全な硝酸塩に変わってくれるので海水魚は死ななくて済みます。
でも限られた入れ物の中だけだと安全な硝酸塩でも増えすぎて害になるレベルになってしまいます。
自然界で生じた硝酸塩は植物の餌(肥料)となって植物が成長していくのに使われ消えていきますが水槽の中には植物がありません。
コケや水草が餌とすることはありますが狭い水槽内では海水魚たちの作り出す硝酸塩のほうがはるかに多いため水槽内に硝酸塩は溜まってしまいます。
硝酸塩も異常に多い状態だと害になりそのままにしておくと海水魚たちは病気になって死んでいきます。
そうならないために定期的な水替えが必要となるのです。
水槽に入れる海水は水道水で作っている人がほとんどです。
実は浄水場で作られる水道水にも硝酸塩は含まれているのです。源水にもアンモニアは含まれているのでこれを消すため浄水場でも硝化バクテリアの働きによってアンモニアは硝酸塩に変えられています。硝酸塩を含んだ水道水は各家庭に運ばれてきています。
そのため汚れた水源の水道水や夏場の水道水ほど硝酸塩は多く含まれています。
水槽内の硝酸塩は水道水に混ざって入ってくるほか水槽内の硝化活動の結果次々増加していきます。
必ず増えていきその内生物が生きていけない量になってしまうので通常は定期的に水替えをして水槽内から硝酸塩を捨てています。
硝酸塩は水中濃度 0mg/Lの状態が理想ですが、 20mg/Lを超えたら水替えすると考えて飼育していけばよいと思います。
50mg/Lを超えてしまうと海水魚を弱らしコケがはびこるようになります。
最大 75mg/Lは超えないようにする必要があります。
硝酸塩は多いのか少ないのか見ていても分かりませんが試薬やテスターを使えば調べることができます。
25. 硝化バクテリア数
硝化バクテリア(硝化菌)は海水中に棲んでいる生き物ではありません。
水の中に混ざっているのではなく水槽のガラス面とか飾り岩の表面とか砂の表面、濾材の表面などに張り付いているバイオフィルムの中で生活しています。
新しく水槽を立ち上げたときには水槽の中に硝化バクテリアはほとんどいません。
立ち上げ前の水には硝化バクテリアの餌となるアンモニアがなく、餌がないので硝化バクテリアは生きていけなかったからです。
テストフィッシュを入れると海水魚が出す糞などからアンモニアが生じこれを餌にして増えていきます。
増えていくスピードはゆっくりで、水槽で海水魚を飼育していける十分な数になるのに1か月以上3か月程度もかかってしまいます。
その間硝化バクテリアがどれだけ増えているのか測る計器や試薬などはありません(硝化バクテリアが働いた結果作り出される硝酸塩の量を計る試薬はあります)。
硝化バクテリアが十分な数いて海水魚を飼育していけるかどうかの目安は以前はテストフィッシュの様子を見て判断していました。
水槽を立ち上げてから1か月の間は1〜2匹のテストフィッシュだけを飼育してみます。
1か月経過後はテストフィッシュが元気なら少し海水魚を追加して様子を見てみます。
3か月後はそれまでの海水魚が元気なら予定していた海水魚を予定数飼育するようにしていました。現在は
バクテリアの素を投入することで必ずしもテストフィッシュで判定する必要はなくなっています。立ち上げのときバクテリアの素を入れ小魚1匹か魚肉片などを入れてアンモニアを発生させれば短期間で水が出来上がるようになりました。短期間で水が出来上がるので小魚はほとんど死ぬ心配がありません。亜硝酸試薬を使えば魚が飼える状態かどうかは分かります。能力の高いフィルターを使ったり、良い濾材を選択したりすることで硝化バクテリアは早く増えてくれたり、たくさんの数にすることができます。
硝化バクテリアがたくさん増えてくれるほど大きな海水魚を飼育することができますし、たくさんの海水魚を飼育することができます。
ただし、たくさんの硝化バクテリアがいるということはたくさんの酸素が必要になるということですし、硝酸塩の作られる量も多くなるので水替えの頻度は高まるということです。海水魚飼育では多くの酸素を取り入れる工夫と頻度の高い水替えが必要となります。(サンゴだけの飼育の場合は酸素不足や水替え不足をそれほど重要視することはありません)
良い水質を保つには硝化バクテリアだけを育てればよいかというとそうとも言えずその他のバクテリアも関連してきます。バイオフィルム内には
硝化バクテリアや脱窒菌などの善玉菌といわれるものの他にいろいろなバクテリアが棲んでいてビブリオ菌やエロモナス菌のような悪玉菌がいる他たくさんの日和見菌と呼ばれる種類の細菌もいます。
水質の状態はこれらバクテリアの微妙な構成比率によって変化していきます。
水質を良くするとされるPSB菌やアミノ酸発酵菌などもみつかっており、良い働きをするバクテリアの比率が高いときが良い水質が維持できている状態にあるといえます。
有益に働くバクテリアはいろいろな種類が発見されていてメーカー毎にこれはと言った種類を培養して製品化されているので試してみるのもよいでしょう。
- バイコム
ベルテックジャパン
パワーハウス
パピエ・C
バイオマックス
TDC
Leaf Corporation
ニッソー
スドー
マメデザインアクア
MAX
JUNコーポレーション
プロディビオ
シーケム
セラ
サンミューズ
日本動物薬品
ソネケミファ
API
レッドシー
ジェックス
デュプラ
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ジクラ
テトラ
コトブキ
シマテック
別府海洋研究所
環境リバイブ研究所
ウォーター
エイキューヴ
エフィッシュ
どじょう養殖研究所
B-Blast
マメデザインアクア
MICROBE-LIFT
ELOS
アクアシステム
ハーバル
ケムマリン
ゼンスイ
野辺商会
富山環境興研
九宝物産
アイドール
アクシズ などです。
26. 脱窒バクテリア数
脱窒バクテリア(脱窒菌)は脱窒作用をするバクテリアなので脱窒バクテリアが増えてくれると水槽内の硝酸塩の増えるスピードを遅らせることができます。
水槽内の硝酸塩が増えていかなければ水替えの 回数は減らすことができます。
硝化バクテリアと脱窒バクテリアの両方を育てていければ良い水質を長く維持していけます。
バクテリアは水槽立ち上げ時は両方ともいないので水づくりの期間に両方を育てていきます。
硝化バクテリアの増えていくスピードは 1サイクル(卵から親に育って卵を産むまで)48時間かかりますが脱窒バクテリアの 1サイクルは 2〜3時間です。
水槽立ち上げのときはまず脱窒バクテリアが増えていきます。
底砂やガラス面、ライブロックなどの表面に両方のバクテリアが増えていきます。
脱窒バクテリアは増えるスピードが速いのでいろいろな物の表面をうずめていきます。
でも脱窒バクテリアは糖分の餌が必要なので水槽内の糖分を食べつくしてしまうと増加は止まってしまいます。
硝化バクテリアの方はアンモニアを餌にしているのでテストフィッシュなどがいれば排泄物や糞残り餌などによってどんどんアンモニアは作られていきます。餌があるので硝化バクテリアの方は増え続けていきます。
そのため普通の水槽では脱窒バクテリアはある程度の数しか増えず硝化バクテリアはどんどん増えていきます。
普通のバクテリアは酸素が得られないと活動できなくなり死んでしまうか休眠状態になります。
ところが脱窒バクテリアは酸素のない状態になると酸素ではなく硝酸塩(NO3)の酸素部分(O3)を使って呼吸しだし、使わなかった窒素(N2)を吐き出すということをしだします。
酸素がないとほかのバクテリアが活動できなくなって死んだり休眠していくのに対し、硝酸塩の酸素を使って生きていけるのです。
この状態になると硝酸塩は脱窒バクテリアの呼吸で使われて無くなっていきます。
しかし普通に酸素(O2)を得られる環境にいる時には硝酸塩から酸素を使うということは行いません。
酸素のない環境になると脱窒を行うようになるバクテリアが脱窒菌です。
水槽内は硝化バクテリアに働いてもらう必要があるため絶えず水中に豊富な酸素があることが必要です。
そのため普通の水槽では糖分という餌がないことと酸素のない場所が少ないことで脱窒があまり行われません。
ライブロックや底砂が少ない水槽とかベアタンクではほとんど脱窒活動は行われていません。
たとえ脱窒バクテリアがたくさんいてもほかのバクテリアと同じように酸素を使って呼吸しています。
したがって脱窒バクテリアは数が多ければよいというものではありません。脱窒バクテリアに脱窒活動をしてもらうには酸素のない底砂の奥とかナイトレートリアクター内などで増やし糖質の餌を与え続けていかなくてはならないのです。
脱窒バクテリアの場合は脱窒をしているかどうかが問題となるバクテリアです。
脱窒活動をしているかどうかを知るテスターとしてORPテスターがあります。
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バクテリアはいろいろな種類がいて、生きていくため種類によって少しづつ違った働きをしています。 中にはアナモックス菌のように嫌気環境であればアンモニアを直接窒素に分解してくれるバクテリアもいます。 でも今のところこのバクテリアの活性化には成功していません。 脱窒バクテリア(脱窒菌)は好気環境にいるときは脱窒を行わずタンパク質を分解する働きをしていますが嫌気環境に変わると脱窒を行うようになります。 そのため脱窒菌に脱窒作用をしてもらうためには水槽内の底砂を厚く敷いたりナイトレイトリアクターを設けたりして嫌気環境を作らなくてはなりませんでした。 でも最近は個体のエサ(デニボールなど)を使う代わりに液体のエサを使って特別な嫌気環境を作らずに脱窒させることができています。 このような脱窒菌活性剤を使えば水替えの間隔を伸ばすことができますしコケの発生を大きく抑えることができます。 数社から脱窒菌や硝酸還元菌を活性化させる製品が硝酸塩除去剤として売られていますので活用するのが良いでしょう。
27. 微量元素濃度
生物は有機物(炭水化物、タンパク質、脂肪)を食べて生きていますが摂取した栄養分は
酵素を使ってエネルギーにしたり 自分の体にしたりしています。
酵素が働くためには必要とするものがあってビタミンとミネラルがないと酵素は働くことができません。
ビタミンとはミネラル(元素)を組み合わせて生物が作ったものです。
ミネラルの方はたくさん必要なものとごく僅かあれば足りるものがあります。
たくさん必要とするミネラルはカルシウムとリンです。
これを多量元素と言います。
多量元素より少なくてよいミネラルはイオウ、カリウム、ナトリウム、
マグネシウムです。
これを少量元素と言います。これより少なくごくわずかあればよいミネラルは鉄、フッ素、ケイ素、亜鉛、ルビジウム、マンガン、銅です。
これが微量元素です。以上のものよりさらに少なくてよいけれどなくては困るミネラルもあってアルミニウム、バリウム、セレン、ヨウ素、モリブデン、ニッケル、コバルト、バナジウム、ゲルマニウム、リチウム、タングステン、チタンほかいろいろあります。
これらのミネラルを超微量元素と言います。一般に微量元素と超微量元素を合わせて微量元素と呼んでいます。
新しく水を入れたとき水槽中のミネラルは生物が必要とする量程度は含まれているものです。
しばらくするうち生物に使われて少なくなっていきます。
あるミネラルが少なくなってしまうとそれを必要としている酵素が働くことができず病気になってしまいます。
海水魚飼育のときは定期的な水替えをしていれば微量元素の量はそれほど心配することはないのですが、サンゴ飼育やプロテインスキマーを使っているときは添加剤で補充しないとうまく育てられないものです。
コンディショナーと呼ばれるものには各種の微量元素が含まれているのでこれを使うことで微量元素不足の心配はなくなります。
海水魚だけの飼育のときは定期的な水替えを行っていれば特に微量元素の添加は必要ありません。
ただプロテインスキマーを使用したり、換水の間隔を伸ばしているときはコンディショナーを使用して微量元素を補充してあげます。
さらにサンゴ飼育もしているときはカルシウム、ストロンチウム、マグネシウム、ヨウ素など個別に微量元素の添加を行わなくてはならなくなります。
28. カルシウム濃度
カルシウムは生物が一番多く必要としているミネラルです。
体の重要な部分にかかわっていて体を形作る骨格にも使われています。
細胞分裂するためにもカルシウムが必要です。
また神経の伝達にも必要で不足するとうまく神経情報が伝わらず心臓の動き、運動筋肉の動きなどが正常に進まなくなります。
免疫細胞もカルシウムを必要としていて不足すると病気に対抗できなくなります。
水槽にサンゴ砂の底砂やライブロックなどを入れておくことはカルシウムが少しずつ海水に溶けていくので良い水質を保つ上で有効です。
炭酸カルシウムでできているサンゴ砂やライブロックは水中に溶けて炭酸イオンがアルカリ性を維持する働きをしてくれます。
ハードコーラルなどサンゴ類を飼育しているときはサンゴの成長のため多くのカルシウムが使われていきカルシウムは特に不足になりがちです。
水槽でプロテインスキマーを使っていたり吸着剤を使っていたりする場合はこれらによってカルシウムも吸着されて無くなっていくのでカルシウム添加剤で補充していく必要があります。
水中のカルシウム濃度は自然界の海で 400〜420ppmくらいです。
水槽で飼育を続けていくには 350〜450ppmの状態を維持していかなくてはなりません。
29. 藻類の種類と数
水槽内に生えて困る藻類(コケ)は、栄養塩が多く光が良く当たるとたくさん発生します。 藻類は光合成で生育するので強い光があるほど、長い時間光が当たっているほどたくさん生えます。 サンゴなど光合成する生物の飼育では光を弱めることはできませんしある程度の照射時間も必要です。 でも 海水魚だけの飼育のときは海水魚がきれいに見えればよいだけです。 あまり明るくしないようにしたり照明時間を短くすることでコケを減らすことはできます。 コケの餌となる栄養塩はどのコケも必要ですがそれぞれの藻により微妙に違いがあります。 そのため 水槽内の栄養塩のバランスによって発生する藻の種類が違ってきます。水槽内の環境によってもそれぞれの好みがありヒゲゴケのように流れの強いところに発生する藻がある一方逆に流れの無いよどみに発生する藻などいろいろです。 いずれにしても藻類の餌である栄養塩が多い状態は何れかの藻が発生することになります。 コケ(藻類)を発生させないためには照明時間を短くすることも効果がありますが栄養塩を少なくする努力が必要です。
30. レッドフィールド比
植物プランクトンが増殖するのに必要としている栄養は炭素、窒素、リンで、水中に含まれている比率が C:N:P=106:16:1 になったとき良く増殖するという法則です。
水槽の中に生えるコケも植物プランクトンのことですからこの比率になったときよく増えていきます。
このことは炭素、窒素、リンのどれかの水中含有量が減ればコケは減った分増殖できないことになります。
炭素(C)は生物が生きていれば酸素を吸ってエネルギーを作った後に吐き出す炭酸ガス(CO2)なので飼育生物が少ないほど少なくすることができます。
窒素(N)は硝酸塩のことですから飼育生物の数、生物の死骸、糞、残り餌などを減らせば少なくすることができます。
リン(P)はリン酸塩のことですから硝酸塩と同じように生物の死骸、糞、残り餌などを少なくすることで減らせます。
このほかに鉄分(Fe)もわずかに必要としていることや珪藻がケイ素(Si)を必要としていることからレッドフィールド比にこれらを含めて表すこともあります。
31. リン酸濃度
リン酸はタンパク質のように多く必要としているものではありませんが生物が生きていくためには必ずなくてはならないものです。
水槽内のコケも生物ですから増えていくためにはリン酸を必要としています。
したがって水槽内のリン酸をゼロにすればコケは全く増えていかないことになります。
海水魚は餌からリン酸を得ていますので海水中にリン酸が含まれている必要は全くありません。
リン酸をゼロにすればコケを退治できるということではなく今の状態よりコケが増えていかないということです。
リン酸は生物の体で使われているときは水中に出ていくことはありません。
糞をすると糞に含まれて水中に出ていきます。
海水魚にとっては水中にリン酸が多くてもあまり影響はありませんがサンゴを飼育している場合は大きく影響します。サンゴ(造礁サンゴ)は炭酸カルシウムでできた骨格を持っていて水中の炭酸カルシウムを取り込むことで成長しています。
水中のカルシウムは塩(えん)の形になって水に溶け込んでいますがカルシウムは炭酸よりリン酸と結合しやすい性質を持っています。水中に
リン酸があるとまずリン酸カルシウム塩が作られてしまい炭酸カルシウム塩が作られなくなります。
リン酸が多いときにはリン酸塩ばかり作られ炭酸塩が作られないのでサンゴは骨格の形成ができなくなって弱ってしまいます。
海水魚だけの飼育ではリン酸塩の多い少ないはコケの増加だけの問題ですがサンゴ飼育のときは重要なファクターになります。
水中のリン酸を減らす方法は水替えで行いますが量が多い時は吸着材を使うと大変効果があります。
脱窒菌を育てて硝酸塩を消していくのと同じように 、ポリリン酸蓄積細菌というバクテリアを育てるとリン酸塩を取り除くことができます。
ポリリン酸蓄積細菌は脱窒菌と似たバクテリアですが、脱窒菌が嫌気環境で脱窒を行うのに対し好気環境でリン酸を食べて体に取り入れていきます。
十分リン酸を取り込んだポリリン酸蓄積細菌をプロテインスキマーを使って水槽外に取り出せばリン酸が水槽内から無くなっていったことになります。
うまくそのような環境を作れればリン酸塩のない水槽環境は可能です。ただ、プロテインスキマーを使っているだけでもほかの栄養塩などと共にかなり取り除かれてはいきます。
リン酸の量を測定するには試薬やテスターがありますので上級者の方は活用しているのが普通です。
リン酸塩は海水魚の飼育ではそれほど気にすることはありませんがコケ防止のためには 0ppmを目指します。サンゴ飼育の場合は水中に若干のリン酸塩がある方がサンゴのために良いので、ソフトコーラルでは 0.1〜2.0ppm、LPSには 1.0〜2.0ppm、SPS には 0.1〜0.2ppmに維持していくのがよいでしょう。
32. ケイ酸濃度
ケイ酸は他の栄養塩のように多い少ないがあまり影響するミネラルではありません。
生物は生きていく上で数十種類のミネラルを必要としていますが生きるために必要なミネラル量は生物の種類によって違っています。
あるミネラルが多いとそれを必要としている生物が増加していきます。
ケイ酸は珪藻以外はほとんどの生物があまり必要としていません。
そのため海水魚が生きていく上で水槽内にケイ酸がなくてもまったく心配はありません。
茶ゴケ(珪藻)で悩んでいる場合はケイ酸をゼロにしてあげれば解決します。
ケイ素は地球中のどの水にも含まれているミネラルです。
ケイ酸の形で水道水にも含まれていますし川の水にも海の水にも含まれています。
水槽に新しい水を加えると水槽内にケイ酸が投入されることになります。
水槽内では茶ゴケだけがケイ酸を使っているので水槽内のケイ素を茶ゴケが使い切ってしまえばそれ以上茶ゴケは増えていきません。
水槽内のケイ酸がゼロでほかの栄養塩があるときは(硝酸塩やリン酸は水槽内で次々増えていきます)茶ゴケ以外のコケが増えていくことになります。
RO浄水器を通した水はケイ酸が除かれているので水替え時にケイ酸が入ってこないことになり、最初から茶ゴケがない水槽にすることもできます。
既に水槽内に入ってしまったケイ酸をなくすにはケイ酸吸着剤を使うのが効果的です。
水中のケイ酸の量を調べるには次のような試薬やテスターがあります。
33. 炭酸塩硬度
普通 KH と呼んでいるもので飼育水のKH値が高ければ pHが酸性になりにくい良い状態にあるといえます。
海水が酸性になってしまうと中にいる海水魚やいろいろな生物は病気になり死んでいきます。
炭酸塩硬度は水中の重炭酸塩の量を示した指標です。
重炭酸塩(NaHCO3やKHCO3、NaCa(HCO3)2など)は水素イオン(H+)と結合しやすい性質があります。そのため水中にH+が増加して水質が酸性側に向かっていくとき、 H+と結合するので中和され酸性になるのを防ぎます。
海水中に棲む生物は pH8程度のアルカリ性に適応しているのでなるべく水質は酸性にはしたくありません。
特に水槽の中では pHが 6程度にまで下がってしまうと硝化バクテリアが死んでいきます。こうなると硝化活動が行われなくなり結果飼育生物の全滅となります。
海水水槽でちょうど良い KH は 8〜12dKHで水質をこの値に保っていれば pHが下がって酸性になるのを防げます。
このようにpHが低下するのを防ぐ状態にある水質を緩衝力がある状態にあるといいます。
34. アルカリ度
水が酸性になっていくとき(H+が増えていくとき)水の中にマイナスイオン(OH-など)があれば中和されることで酸性に向かうのを防ぐことができます。
そのときの水中にあるマイナスイオン量の多い少ないがアルカリ度です。
アルカリ度が高ければ酸性になり辛く、アルカリ度が低いと簡単に酸性になってしまいます。
アルカリ度が高い水を緩衝力のある水と呼んでいます。
アルカリ度とは水中にあるアルカリ成分(炭酸:H2CO3、炭酸イオン:CO32-、炭酸水素イオン:HCO3-、水酸化物イオン:OH-など)の合計のことです。
このようにアルカリ成分にはいろいろの種類のものがあって数値化しづらいためもし炭酸カルシウム(CaCO3)だけだとしたらとして量を数値化したものです。
水が酸性になるということはプラスイオン(H+)が増えることです。
このとき水中にマイナスイオン(OH-)があればプラスイオン(H+)と結合して水(H2O)ができプラスイオン(H+)が消されていきます。
マイナスイオンがたくさんあれば発生するプラスイオンを次々消していきますが少なければすぐ消すことができなくなり酸性の水になってしまいます。
新しく水を入れたばかりのときは急に酸性化が進むことはなくゆっくりと酸性に向かっていきます。
生物がいると生物(海水魚や各種バクテリアなど)の呼吸活動により水中に炭酸ガスが吐き出され水は酸性に向かいます。
ある程度酸性に向かったところで水替えをして元に戻してあげます。
でも水槽のような狭いところで海水魚が死んだようなときは腐敗菌、硝化菌などが 急に増えて活動が活発になり炭酸ガスの増加で水は急激に酸性になっていきます。
このときアルカリ度が高い水質の場合は持ちこたえられますが低い場合は簡単に酸性になって全滅してしまいます。
アルカリ度の単位はあまりなじみのないmeq/L という単位です。これは ミリ(milli)当量数(equivalent)/リットル(litre)のことでメック パー リットルと呼びます。
海水水槽の適正アルカリ度は3.5〜5.5meq/Lで、脱窒作用を働かせたプレナム水槽などでは 2.5〜3meq/Lくらいが良いでしょう。
ただし、アクアリウムの世界では伝統的にアルカリ度を炭酸塩硬度( KH )で調べる風習があります。
普通 pHの緩衝力を調べるときは KH を調べています。
35. 総硬度
水に溶けているカルシウム(Ca)とマグネシウム(Mg)を合わせた量を示した指標で量が多い水を硬水、量が少ない水を軟水と呼びます。実際には石鹸が良く溶ける水が軟水で、よく溶けない水が硬水です。
その程度を表した指標が総硬度です。
マリンアクアリウムでは石鹸が良く溶ける溶けないは関係ないことですが淡水魚だと魚がどのような河川で生息していたかで関係してきます。
軟水の川や湖で生息していた魚を硬水の飼育水で飼育すると病気になり死んでしまいます。
逆に硬水で生活していた魚を軟水で飼育すれば病気になり死んでしまいます。
生息していた硬度の水で飼育しなくてはならないので総硬度が重要になります。
でも海水魚飼育の場合は全部の海水魚が海という硬水で生息しているので飼育水の硬度を調べる必要はありませんし海水魚によって飼育水の硬度をちがえる必要はありません。
海水魚飼育では硬度を考える必要はありませんが炭酸塩硬度を考える必要はあります。
総硬度( GH とも TH とも呼びます)と炭酸塩硬度( KH )では次の関係があります。
総硬度 = 炭酸とくっつ + 炭酸以外とくっつ
いたCaとMg いたCaとMg
カルシウム(Ca)とマグネシウム(Mg)の塩には炭酸とくっついている炭酸塩と、硫酸や塩酸などとくっついている炭酸塩以外のものがあります。
海水魚水槽では アルカリ度を示す炭酸塩硬度が水の酸性化を防ぐ働きの指標となるため重要なになります。
海水魚飼育では海水を微アルカリ性で維持していくことが大切です。